リメイク版『FF7』第2作は来冬発売に。続報に集まる3つの懸念
6月17日、『FINAL FANTASY VII』関連の最新情報を伝える番組『FINAL FANTASY VII 25th ANNIVERSARY CELEBRATION』が、同タイトルの開発・発売元であるスクウェア・エニックスより配信された。
2022年で発売から25周年を迎えた『FINAL FANTASY VII』。一昨年には、待望のリメイク作品『FINAL FANTASY REMAKE』もリリースされ、界隈は大きな盛り上がりを見せた。
それから2年あまり。アニバーサリーイヤーを迎えて発表された最新動向とは、どのようなものだったのだろうか。内容に対し、ファンが見せた反応の背景を考えていく。
リメイクプロジェクト第2作『FF7 REBIRTH』は来冬発売
『FINAL FANTASY VII』(以下、『FF7』)は、1997年にPlayStationで発売されたRPGだ。『FINAL FANTASY』シリーズに属する数々のナンバリング・スピンオフのなかでも、屈指の人気を誇るタイトルで、2020年にはリメイク作品『FINAL FANTASY VII REMAKE』(以下、『FF7 REMAKE』)として、現代への復刻も果たしている。
6月17日の配信で発表された新情報は、多くがこの『FF7 REMAKE』に関するもの。リメイク第1作の登場以降、待望されていた続編の名称が『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(以下、『FF7 REBIRTH』)に決まり、来冬の発売を予定していることに加え、オリジナル版のストーリーを分割して展開されていたリメイクシリーズが全3作で完結となること、さらには同日より『FF7 REMAKE』のアップグレード版『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』(以下、『FF7 REMAKE INTERGRADE』)がSteamプラットフォームで配信開始となることなどが明らかとなった。
また今冬には、本編に登場するキャラクター・ザックスを主人公としたスピンオフ『CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII-』のHDリマスター版もリリースされるという。オリジナル版の発売から25周年を迎え、各方面で動きが活発となってきた形だ。
リメイク版『FF7』の続報をめぐる3つの懸念
『FF7』に関する新情報が目白押しとなった今回の番組。SNSなどでは、配信をチェックしたフリークたちからさまざまな声が上がった。その多くは新たな動向に対する好意的なものだったが、なかには不安を募らせたり、落胆したりといったネガティブな反応も散見されている。
ひとつは、リメイクプロジェクトが全3作で完結すると発表されたことについてだ。すでに発売されたリメイク第1作『FF7 REMAKE』に描かれているのは、オリジナル版のシナリオの2割ほどだと言われている。同様の配分での制作を想定すると、オリジナル版の内容を描き切るには5作が必要な計算だ。特にRPGにおいては、物語が終盤に差し掛かるほど、ムービーなどを用いた演出が増える傾向にある。残り2作で8割を消化するとなると、シーンのカットは避けられないと見込まれるため、原作に忠実なリメイクとならないのではないかという懸念が生じている。
一方、このリメイクシリーズがオリジナル版のシナリオを分割してリリースされると明らかとなったときには、第1作がフルプライスでの発売となったことも含め、その商法に対する批判も起こった。メーカーの立場からすると、双方の意見の板挟みとなっている背景もある。
また、第2作『FF7 REBIRTH』がPlayStation 5独占でのローンチを予定していることも、一部のファンにとっては懸念事項となっているようだ。ご存知のように、同ハードは2020年11月の発売時から1年半にわたり、国内市場において供給不足の状況が続く。少しずつ問題は解消に向かっているものの、いまだすべての需要には応えられておらず、今後もしばらくは品薄のままの見込みだ。万が一、『FF7 REBIRTH』がリリースとなる来冬まで手に入りにくい状況が続けば、同タイトルをプレイしたくてもできない層が生まれかねない。ハード普及のためであろう独占でのローンチが、ファンの不幸に直結しつつある現状がある。
実際にデータを見ていくと、2022年6月時点でのPlayStation 5の国内累計販売台数が約150万台であるのに対し、『FF7 REMAKE』の国内での販売本数は、2021年の集計で約140万本となっている。同ハードの普及が『FF7 REBIRTH』の動向にとって、いかに喫緊の課題であるかがわかるはずだ。『FF7 REMAKE INTERGRADE』のSteam対応を喜ぶファンが多かったことを考えると、実に皮肉な状況であると言える。