にじさんじ・家長むぎはキュートな声で思考する。その鋭敏な感性と文才に迫る

家長むぎは思考する

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドで、アーティストとして日の目を見る者も増加している。

 今回は元二期生のなかでも、家長むぎの奥ゆかしい魅力について記していきたいと思う。

 2018年3月12日にMirrativにて初めて配信し、VTuberとしてデビューした家長むぎ。小柄な体格、明るいブラウンに染めたロングヘアー、ピンクと白の縞々柄の部屋着をゆるく着込み、首からも同じくピンクと白のヘッドホンをかけた姿が特徴的。

 少し内気な性格、活舌・発音がすこし甘めで舌足らずな口調と、より幼さを感じさせやすい彼女なのだが、会話を始めるとドンドンと進めていく会話好きな面も見えてくる。なによりあどけなさすら感じさせるウィスパーな声は、リスナーはおろか、彼女を知らない人にも引っかかるものがあるようだ。

【漫画】声がかわいい人あるある?買い物での絶望体験【マンガ動画】【アニメ】にじさんじ☆ぷちさんじ VTuber

 元2期生である剣持刀也、森中花咲、文野環、伏見ガクらとは仲が良く、かわいい見た目からは想像もできないほどに鋭い舌戦を繰り広げることもしばしば。同期の夕陽リリへの愛情は強く、「関係性に名前をつけて縛りたくないと初めて思った」と面と向かって語るほどだ。家長、夕陽、剣持、伏見とは「ハッピートリガー」としてファンに親しまれてきたことも特筆すべき点だろう。

 「ボカロ曲を通じて哲学について興味が湧くようになった」と語り、重度の文系気質ということも相まってかなりの本・読書好きとしての一面がある。

 とある配信内であげた好きな本をいちど挙げてみよう。

アイリス・ゴットリーブ・野中モモ「イラストで学ぶジェンダーのはなし」
青木志貴「わがままに生きろ。」
品田遊「止まり出したら走らない」
村田沙耶香「コンビニ人間」
嶽本野ばら「世界の終わりという名の雑貨店」「ミシン」
古市憲寿「平成くん、さようなら」
星野源「そして生活はつづく」「よみがえる変態」「働く男」

【 読書記録 】むぎの本棚 最高本10選【 にじさんじ / 家長むぎ 】

 ジェンダー論・小説・エッセイと幅広いジャンルからオススメの一冊この配信で紹介しており、以前にはニーチェ「善悪の彼岸」「悦ばしき知識」やエンデの「はてしない物語」などを挙げ、さまざまな学びを得てきた読書経験をリスナーに話してきた。そんな彼女は、2020年11月30日からスタートした自信のnoteを通して、さまざまな文章を残している。

 最近起こった出来事を振り返る日記の形でありつつ、その語り口は外の風景と心の風景を多彩な言葉づかいで綴られたエッセイとして完成されている。すでに起こってしまったことを振り返りながら、いまだ自分でも掴めきれていない感覚をもキャッチしようと言葉にするその様は、彼女の心理・思考の揺らぎや跡を読み手にもより深く伝えてくれるだろう。

 noteだけではなく、にじさんじファンクラブなどでも彼女の文章を読む機会がある。にじさんじのなかでは来栖夏芽がライトノベル作家としてデビューを果たしたが、家長むぎもまた一人の書き手としてイビツながらも強い輝きを持っているといえよう。

2022/05/31 雑記 光芒
『家長むぎの錆び、グロテスク』2021/08/17

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