連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」第3回:ゲームの裏技(前編)

有名なコナミコマンドや”制作者の愚痴”まで……奥深いレトロゲームにおける“裏技”の世界

隠しキャラクターも一つの裏技

 あと有名な「裏技」だと、「隠れキャラクターを登場させる」というものもありました。

 有名なのはセガサターンの『デイトナUSA』。本来はカーレースなのに、あることをすると馬が走るという技がありました。あと『ストリートファイターII X』の隠しキャラ「豪鬼」も、ゲームファンならみんな出すためのコマンドを覚えていたことでしょう。

 ですが、完全に僕のど真ん中隠れキャラは「弥七」ですね。カプコンゲームでよく出てきた、手裏剣の形をしたキャラクターでした。ちなみにコナミのタイトルでは「コナミマン」がいろいろなゲームに出てきていました。

 それと、ファミコンゲームには制作者も結構出てきます。ハドソンの『スターソルジャー』『ドラえもん』だと、開発者の野沢勝広さんの顔がポコンと出てきたりもしていましたね。意図して入れていたのでしょうが、出し方が難しかったことを覚えています。

隠しメッセージは制作者の心の叫びか

 当時は、ゲーム雑誌にプログラムを解析する人たちもいて、そこから隠れているコマンドを発見していました。デバッグ用のコマンドやROMに書き込まれているメッセージ的なものも発見されていました。そして、そういう隠しメッセージは、だいたい制作時の不満が多かったようです(笑)。

 有名なのは、2000年代になって発見されたもので『えりかとさとるの夢冒険』というナムコから出ているファミコン用のゲームなのですが、エンディングが終わってそのまま1時間ぐらい待ち、そこでコマンドを入れてさらに30分ぐらい待つと現れるというものです。

 出し方の設定がすごくマニアックなところからも、どうしても入れたかったという熱意が伝わってきます。これは、ひでむしさんという人が、とにかく制作スタッフの悪口を言っているものでした。全部読むと少し引くというか、怖いくらいのものですね。相当イライラしていたんだろうということを感じます。

 ムカついたことがあったら、リリックの中にわからないように込めるのと一緒で(僕はやりませんが)、そういう自分にしかわからない暗号を仕込むというつもりだったのでしょう。ゲームの制作陣もそのころは多忙を極めた時期。販売元や偉い人に、色々言われてカッとなって、衝動が抑えられず、このようなメッセージが入れられたのだと思います。

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