霜降り明星・粗品、YouTubeで発揮するギャンブラーとしての矜恃 辛辣なコメントは人気の証拠?

粗品、YouTubeで発揮するギャンブラーとしての矜恃

 霜降り明星・粗品のYouTubeほど「人生」を見せてくれるチャンネルはない。

 2020年5月に開設された個人チャンネルで、基本的には、配信リリースもされた『乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう(CV: 竹達彩奈)』などの自作曲や、自分の人生のことを歌った弾き語り動画、「海物語でリーチが来た時のおばあちゃん」「パチンコ屋で1000人以上並んでいる日の抽選」「絶対に消費者金融と電話している人」などギャンブル好きの粗品ならではのあるある動画をアップしている。ほぼ編集もなく、自宅や事務所で撮影した動画をそのまま投稿していることがほとんどなのだが、その圧倒的な独創性と面白さに登録者数は2年足らずで80万人を突破、総再生数は2億回を超えている。

粗品 - 乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう(CV: 竹達彩奈)

 どの動画も「粗品」という一人の人間の魅力が存分に詰まっている素晴らしいチャンネルなのだが、彼のアイデンティティでもある「ギャンブル」「借金」に関する動画はその「本気度」が他の芸人やYouTuberとは明らかに違う。ある程度売れた芸人ならギャンブルも借金も普通はやらなくなるものだが、粗品はしているフリではなくバリバリの「現在進行系」なのだ。それゆえにどの動画にも恐ろしいほどの「リアル」がにじみ出ている。なぜここまで人がギャンブルで大負けしている動画がここまで面白いのか、それは粗品自身が「本気で勝とうとしているのが痛いほど伝わってくるから」ではないだろうか。それを証明しているのが彼の格言でもある「ギャンブルで負けた金はギャンブルで返す」という言葉だ。どれだけ芸人として活躍しようとも、稼いだお金でさらに賭け金を増やしマイナス1億円を「ギャンブル」で返す、そうしなければ今までギャンブルに費やしてきた時間が無駄になってしまう。ここにギャンブラーとしての「矜持」がある。それを果たすため「何百万円」という常人ならば震えがってしまうほどの高額を息を吐くようにBETする粗品は「カッコいい」とすら思ってしまう。

 特にそれを感じられるのが、このチャンネル内で最も人気のコンテンツ「生涯収支マイナス1億円君」だ。その名の通り粗品の友達である「ギャンブルでの勝敗のトータル額がマイナス1億円の男」が毎週競馬メインレースの前日に本命予想をするという動画なのだが、何の因果かことごとく外れてしまう。あまりにも負けが続くため、ネット上では「粗品の呪い」としてトレンド入りすることもあるほどで、毎回レース後に生涯収支マイナス1億円君が言い訳をしながら「キイィイイイイャアアアアアァァア!!!」と叫ぶ動画をアップするまでが一連の流れとなっている。

生涯収支マイナス1億円君の大阪杯予想
本日の大阪杯について

 また個人的に更新を楽しみにしている動画が、エピソードトークの動画をアップした翌日に、そのコメント欄に書かれている文章に返事をする「昨日の動画に来たカスのコメントに反論」だ。数十分間視聴者のなんでもないコメントへの粗品の本気ツッコミを浴び続けることができるのは本当にありがたい。特に、辛辣なコメントした視聴者に対して「お前のこと誰が好きなん? いやお前のこと誰が好きやねん? ええ事ないねやろ、普段生活してて。なぁ? お察しします」とその存在ごと全否定する流れは、あまりにも表情と言葉が強すぎて自分が言われてるような気にすらなってくる。このくだりのキレと中毒性が凄まじすぎて「お前のこと誰が好きなん?」を言われたいがためにわざと批判コメントを投稿する視聴者が現れるほどで、今年流行語になっていてもおかしくないほどの爆発力がある。最近では反論への逆張りとして「自称俯瞰で見れてますファン」も現れ、地獄のようなコメント欄に拍車がかかっている。「ファンは他所に迷惑をかけてない盲目であれ!」は名言だった。

 一般人では絶対に真似できない生き様を見せてくれる粗品、ギリギリ首が回る程度にギャンブルしながら一生活躍してほしい。

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