霜降り明星・せいやのリアルすぎる“女子人気ゼロ男”が最低すぎる? 「イニミニチャンネル」で発揮する演技力
「イニミニレカピカレーライオニメカチカロリパパランパンプッシュ」
あなたはこの言葉を聞いて何を思うだろうか。正解は「無」。これは霜降り明星・せいやが作り出した造語であり、これ自体には最初からなんの意味もない。しかし個人YouTubeチャンネル「イニミニチャンネル」を見れば「イニミニレカピカレーライオニメカチカロリパパランパンプッシュ」が頭から離れなくなっていることだろう。
イニミニチャンネルの「顔」とも言える動画が「無限芸」。「10秒間何もせず止まってしまうと強制終了」というルールのもと、ひとつのお題(アイテム)を使って時間の許す限りせいやがひたすらモノボケをし続けるというものなのだが、初めてこの動画を見たとき、あまりの衝撃に震えが止まらなくなったのを覚えている。恐ろしきはこれは決して誰かに「やらされている」のではなく、自発的に「やっている」ということ。ある意味「拷問」とも言える極限状態のなか、己の限界を超えようとボケ続けるせいやに「精神と時の部屋」で修行する孫悟空の面影を見た。
例えば「お題:カラス」では、「魔界のKinKi Kids」「カラスカナル・タカ」「カラス主役のニャースのパーティー」「カラスの捕まえ方が合ってるか気になる人」など、多種多様なボケをとんでもないスピードで行う。せいやの頭の回転力は間違いなく若手芸人の中でもトップクラスだと改めて感じさせられた。だが惜しむべくは、この「無限芸」は演者側の体力的な消耗が激しすぎるのか、いまだ公開された動画は2本だけに留まっている。
しかし、この無限芸で培った無尽蔵のスタミナと卓越したアイデアはそれ以降の動画に広く活かされていた。最近のメインコンテンツとも言えるショートモノマネ動画はどれも「せいやにしかできないモノマネ」を確立している。
せいやの演技力はドラマ『テセウスの船』(TBS)の田中正志役でも実証済みだが、どれをとっても「対象者の特徴を的確に分析し、その人物が持つ面白さだけを抽出する力」はやはりずば抜けている。「芸能人が配信者となってスパチャを荒稼ぎするシリーズ」では、ひろゆきはともかく、西田敏行、桑田佳祐、爆笑問題・太田光、『古畑任三郎』の今泉(西村まさ彦)など、およそ配信など絶対にやらなそうな人選ですら、そこに「リアル」を感じてしまう。せいやのモノマネの凄さは例え外見が全く似ていなくても表情や身体の細かい動きでその人間を表現できることにある。自分の身体の中にその人物を降ろしているかのような印象を受けた。「憑依」と言い換えてもいいかもれない。