カップルYouTuberはどこへ向かう? 音楽活動をスタートした「きゅっぽんちゃんねる」と考える

「きゅっぽんちゃんねる」インタビュー

「すずちゃんの笑顔を守るために」入念に準備された音楽活動

――ここからは年末から始動された音楽プロジェクトについてお聞きしたいんですが、そもそもどのような経緯で始めようと思われたのでしょうか?

すず:もともと私がアイドルをしていたのもあって「やっぱり音楽活動がしたい」と言い始めたのが最初でした。最近ではYouTuberの方も音楽活動されている方も多いので、「そういうのがやりたい」と言ったんですけど、TKには「やるなら今じゃない」って言われてしまって。

TKエンターテイナー:すずちゃんの話す音楽活動は、やっぱりライブとかイベントとかファンのみなさんとの交流を求めていたんですよね。その話をした時期はコロナのこともありましたし、「いまじゃない」と。いつかできるタイミングはずっとうかがっていたんですけど、すずちゃんにはやるつもりはないように見ていてたようで。そんな話し合いが1年くらい続いて、一時期は別居ってことにもなったんです。

すず:「目指してるものが違うね」みたいな感じになっちゃって。あれ、いつくらいだっけ?

TKエンターテイナー:去年の3月とかかな。でも、僕としてもやるなら満席のステージの上で、すずちゃんの笑顔が見たいと思っていたんです。もともとお笑い芸人をやっていたから、イベントに人を呼ぶ難しさは痛いくらい経験していて。何万人って視聴者がいても、イベントをやってみたら1人も来ませんでした、みたいな話も珍しいことじゃないんです。「行きます!」「会いたい!」ってコメントを打つのと、実際にチケット数千円を払ってその場所まで行くっていう熱量は全然違くて。僕はメンタルが強いからそれでも続けてこられましたけど、それをすずちゃんに耐えさせるなんて僕にはできないって思ったんです。いきなり「やります」って言っても、きっとすぐには思ったようなステージはできない。それですずちゃんの心が折れてしまったら……そう思ったら、しっかり準備をしないとって思っていました。

――機が熟してきた、と?

TKエンターテイナー:そうですね。少しずつファンの方とお会いできるイベントを始めていって、手応えを感じられるようになっていったのが大きかったです。このペースでなら、すずちゃんの願いを叶えてあげられるんじゃないかって。

すず:私はびっくりしました。あんなにやらないと思ってたのに「え、やるの ?」って。そしたら今度は「ドラマも作る」と言われて、さらに驚いて(笑)。

TKエンターテイナー:さっきすずちゃんが言ったように、最近はYouTuberで音楽活動をされる方も増えていますが、僕らが急にMVだけ上げたとしても見られないと思ったんですよね。むしろ「なんで?」っていう疑問が視聴者のみなさんの中にも残りそうで。僕は、海外にいたときすごくそれを感じたんですよね。海外では奇抜なことをしてもそのまま楽しんでくれる人が多かったんですが、日本人に会うと「なんでそんなことしてるの?」と必ずっていうほど聞かれて。だから「なんで音楽活動ををやるのか」という納得のいくものを、ドラマ作品で作りたかった。そこからMVを出して一気に音楽活動を開始したんだという盛り上がりを作りたかったんです。

生きる意味を失いました。

――それでまずはクラウドファンディングを始めたんですね。

TKエンターテイナー:はい。200万円、映像制作にかかるのでみんなからお金をいただきたいですと。でも、それでファンの方だって怒らないわけがないんですよ。僕らは何も形にしたことがないんですから。1年半構想を練って、脚本を書いて、チームを組んで……って動いてはいましたけど、その準備を見せずに説明も不十分なままで、いきなり”映像作品”を出したかったと言い出したこともあって、「何がしたいの?」「いきなり200万って無理でしょ」と炎上もして。でも、結果として280万円を集めることができた。1時間超のドラマも作ることができた。おかげさまで見てくれた人からのアンチコメントは1件もなかったです。むしろ「これは200万円かかるわ」「なめてました、すみません」「視聴者に借金の肩代わりさせるなんてどうなの?って支援しなかったけど、こんなにすごい作品作れる人たちだと思わなかったです」みたいなDMが100件くらい来て、うれしかったです。

――人を動かす厳しさを知っているからこそ、まだ何も提示できていない状態でお金を出してもらう難しさみたいなものは感じませんでしたか?

TKエンターテイナー:クラウドファンディングサービス側からも何度も突き返されましたね(笑)。 明確な目的のためにお金を集めるという仕組みなので、今回みたいに詳しい中身は言いたくないけどお金を集めたいなんてめちゃくちゃだって。審査も5回くらい出して、差し戻されて。「この言い方を変えてください」とか「ここをもっとちゃんと書いてください」とか。

すず:リターンにCDがあったんですけど、音楽活動もサプライズにしたかったからCDって書きたくなくて。「制作物」って書いたら「なんですかそれ?」って言われてしまって、なんとか「オリジナルグッズ」って濁してみたり(笑)。

TKエンターテイナー:どうしてもみんなの期待を何段階も飛び越えたものにしたかったんですよ。だから、情報は出さないようにしていったんですけど、そうすると今度はどんどん支援しづらい状況を自分たちで作ってしまって(笑)。ですが、結果としてそれでも応援したいと思ってくれた方々がいてくれたおかげで、こうして新しい活動をスタートすることができました。本当に感謝しきれないですね。

――このプロジェクトのテーマにも「当たり前に感謝」というワードがありましたね。

TKエンターテイナー:そうですね。僕もすずちゃんがいてくれることに当たり前になっちゃってることが多くて、つい喧嘩してしまうことも多いんです。でも、寝顔とかを見ていると、この日常にもっと感謝していかないとなって思って。それは夫婦であっても、友だちや親子であっても同じで。ありきたりな言葉かもしれないけど、わかりやすくてみんなに共通しているんじゃないかなって。

――それこそコロナ禍で当たり前が当たり前じゃなくなっているタイミングですもんね。

すず:本当にそれもありますね。

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