東京オートサロン時間差レポート(Vol.1)
新型フェアレディZは見事に“ヘリテイジ”を盛り込んだ一台だ S30Zオーナーが実際にその目で見て思ったこと
さて、日産はオートサロンで隠し玉を用意していた。“カスタマイズド プロト”と名付けられたそれは、S30型に存在したレーシングモデル“Z432R”をオマージュしているのだが、これが参考出品車ながらスタイリング的には決定版という印象だった。
秀逸なのがフロントマスクで、「口パカーン」に見えないようにフロントグリルを二分割でデザイン。そもそもS30型はバンパーでグリルが分割されているので、この方がよりS30型っぽく見える。この分割ラインに沿ってライト下に大きく“えぐれ”を入れたことで、フロントマスクの厚みも視覚的に軽減。Z33型やZ34型がもっさりブ厚く見せてしまっていたライト下の部分を、S30型がエアダムスポイラーを装着している時のようなシルエットに巧みにアレンジしている。参考出品を謳っておきながら、わざわざナンバープレートの装着も意識した展示をしているので、このフロントマスクは市販を見据えているのではないかと勝手に期待している!
ちなみにZ432Rは、簡単に言うと1970年前後に“スカイラインGT-Rのエンジンを搭載したクルマ”として誕生した。それはレースで戦うための選択だったわけだが、この新型Zが搭載するVR30DDTT型エンジンも、スカイライン400Rに積まれている物と同型だ。新型Zが持つ“スカイラインからエンジンを貰ったフェアレディZ”という背景も、個人的には見逃せない日産ヘリテイジであると思う。
しかも今年からスーパーGT参戦車両のベースが、GT-Rから新型Zへと移行する。日産はこれまで国内レースをずっと“スカイラインの血統”で戦ってきたので、ここにきてレースの世界へフェアレディZが復活することは、なかなかにドラマチックな部分がある。
日産がここまで本腰を入れて作り上げた新型Z。あらためて言うが、S30型を持っていても、欲しい。