バックパックのように着る水冷システム 進化した『ChillerX Pro(チラーエックスプロ)』を試してみた

一般的な女性が水冷ウェアを使ってみた

 暑い日々が続いています。周囲を見ていても、暑さ対策が年々本格化していることを感じます。外での作業では、ファン付きウェアを着用する方も珍しくなくなりました。ただ、建築現場や農作業などで一日中外にいる方はもっと冷却力が強いものを求めているのだろうと考えていました。

ChillerX Pro

 そんな折、Shiftall(シフトール)から水冷ウェアの新製品『ChillerX Pro(チラーエックスプロ)』(https://ja.shiftall.net/products/chillerxpro)が発売されたと聞きました。リリースでは屈強な男性モデルが装着していますが、一般的な女性にも使えるのかどうか、さっそく製品をお借りして試してみました。

電気冷却された水が循環する『ChillerX Pro』

 本製品最大の魅力は、なんといっても「とにかく体を冷やすこと」だけに振り切ったそのユニークな冷却メカニズムです。そのメカニズムとは、本体内部で水を冷やす「ペルチェユニット」と、冷えた水をベストに張り巡らされたチューブへ送る「小型ポンプ」を組み合わせた「ペルチェチラー方式」です。本体に入れた140mlほどの水が、電気の力で冷やされながら常にぐるぐると循環し続けることで、身体の熱を奪って冷やしてくれます。

 「水を循環させて冷やす服(水冷服)」自体は他メーカーからも販売されていますが、ほとんどの水冷服は、タンクに氷や凍らせたペットボトルを入れて冷やす「氷水循環式」です。手軽ではあるものの、「氷が溶けてしまうとただのぬるま湯が巡るだけになってしまう」のが最大の弱点でした。

 その点、電気の力で水を直接冷やすコチラのアイテムは、氷の用意などが不要で、バッテリーがある限り、背中から脇元にかけての広い「面」を冷やし続けられます。

『ChillerX Pro』
腰部分にヒートシンクとファンが。取り外してベスト部分は水洗いできます
冷却部分
水冷チューブが巡るパッド部分は、背中全体から脇の下までしっかりカバーされます

 メーカーによると、外気温45℃という酷暑の中でも循環水の温度を約15℃に保てるとのこと。「15℃はサウナにある水風呂と同等の温度なので常に水風呂に浸かっているような感覚」とされています。さらに、排熱ダクトも改善されました。排気の方向を斜め上方にしたことにより、温風が斜め上に逃げます。体に熱が当たることはありません。

 電気はモバイルバッテリーを使用します。3.85V換算で20,000mAhのPD対応モバイルバッテリーを使用した場合、MAXモード(通常)で約1.4時間、ECOモードで約3時間稼働するそうです。ちょうど外での作業を休憩するのに適した時間でもあるので、ここでモバイルバッテリーを交換してもいいでしょう。使用するモバイルバッテリーについては、公式サイトで動作確認済みのものを選択するのがおすすめです。筆者の手持ちのモバイルバッテリーではエラー表示になるものもありました。

 より大きな容量のモバイルバッテリーを使うとより長く使えますが、本体だけで約2.0kgあるので、モバイルバッテリーを含めると、約2.5kg〜3.0kg近くになります。あまり容量の大きいモバイルバッテリーにすると重さがネックになることもありそうです。

リモコン
リモコンで、MAXモードとECOモードを切り替え。エラー表示もこちらで行われます

『ChillerX Pro』を実際に装着!女性でも問題なし

 さっそく試してみます。最初に水冷シートに水を入れます。その方法はshiftallのWebサイトに動画(https://ja.shiftall.net/onlineguide/chillerxpro/1001)で案内されているので、指示通りに進めれば完了しました。

水冷シートに水を入れている様子
水道水を注入すれば準備完了です。写真では浮いていますが、チューブをしっかり底面につける必要があります

 装着の方法などもすべて動画で掲載されています。筆者は育児中の抱っこひもを付けるときを思い出しましたが、サバイバルゲームのベストにも近いのかもしれません。ベスト部分はフリーサイズ(胸囲79cm〜120cm対応)で、サイドのベルトで身体にぴったりと密着させる作りになっています。

女性の着用例
あえて普段着っぽい服で着てみました。女性でもぴったりと着られます
女性の着用例 側面
横から見ると、腰のあたりに厚みが出ます
排気口部分
斜め上方から見ると、このように排気口が見えます
腰につけたモバイルバッテリー
モバイルバッテリーは腰に装着されます。揺れやすいので蓋部分をしっかり止めます
外で着用している様子
電源を入れると小型ポンプが駆動し、水冷パッドへ冷水が循環し始めます。

 水冷式となると、水を扱う手間が掛かると尻込みしていましたが、少量の水を入れてバッテリーを繋ぐだけなので、想像以上に手軽でした。

真夏の公園や海へ自転車で出発!ひんやりは持続

 最初は自宅で試したので、羽織っただけで冷えを感じましたが、徐々にキンキンに冷えていきます。背中全体に保冷剤を当て続けているような状態で寒いほどです。本モデルでは脇も冷えるようになっていますが、体感としては背中の上部がもっとも冷えました。

 動作音については、ポンプの循環音とファンの回転音が排熱部から発生します。屋外や作業環境では気にならないレベルですが、静かな室内に持ち込むとそれなりに存在感がある音量です。

 気温32℃の日中、外に出かけてみました。公園では遊具で遊ぶ子どもを見守っているようなスタイルで立ってみましたが、背中部分はひんやりし続けています。そのまま、自転車で20分ほどサイクリングし、海でのんびり過ごしました。

サイクリングに繰り出す様子
真夏の公園へ出かけました。あまりの暑さに子どもは一人もいませんでした。自転車にも乗ってみました。モバイルバッテリーが揺れないように少しズボンに挟んで出発です
海に出かける様子
海へ出かけました。やはり暑いですが、背中はひんやりです
椅子に座っている様子
椅子に座ってみました。姿勢良く座れば問題なさそうです

 正直いうと『ChillerX Pro』を付けていても、やはり暑いことには変わりありません。でも、体感としてはかなり楽です。この日は午前中は『ChillerX Pro』を付けずに、午後は『ChillerX Pro』を付けて外出しました。付けずに外出した際には帰宅してから汗が止まりませんでしたが、装着していた際にはそれほどでもありませんでした。体の内部の温度があまり上昇しなかったのかもしれません。

 私はファン付きウェアを持っていますが、猛暑になると暑い風が入ってくることになり、冷えが弱くなります。でも、ChillerX Proはいつでも冷水が冷やしてくれるため、常に冷え冷えです。ファン付きウェアはもうひとつ、膨らんで動きにくいという欠点があります。ChillerX Proは背中に部品が飛び出すものの、かなり上半身は体にぴったりと装着できるので軽快に動くことができます。

 気になる点といえば、大きさと重さです。例えば、電車で現地に行く場合、本体部やベストだけでバッグがひとつ増えるイメージです。これはウェア型では仕方のないことなので、付け外しする必要がないときや、車移動の際には問題ないと思います。

 また、一見すると何の装置を付けているのかわかりづらいため、周囲の目が気になるといえば気になります。排気口があるので何かを羽織って隠せない点もネックです。

 でも、この冷えぶりは他の冷却アイテムでは味わえないレベルだと思います。危険な暑さが続く中、「少し大げさかな」と迷っている時間はないのかもしれません。より強力な熱中症対策をしたい方は、このユニークな製品を一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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