『17LIVE(ワンセブンライブ)』が大規模なリブランディングを行った理由は? グローバルブランド&マーケティング責任者が語る、ライブ配信サービスの未来

『17LIVE』グローバル責任者が語る、ライブ配信の未来

 2021年9月、ライブ配信サービス「17LIVE」はこれまで親しまれていた「イチナナ」から「ワンセブンライブ」へと生まれ変わった。グローバルの拠点を日本に置き、これまで世界各国で別名称で展開してきたサービスの呼称を統一。ロゴやミッションも刷新し、大規模なリブランディングを行った「17LIVE」が見据える展開とは。日本、そしてグローバルでのブランディングおよびマーケティング全般を統括している、Global Chief Brand & Marketing Officer(CBMO)の中島亜希子氏に、リブランディングの経緯や世界的に見たライブ配信サービスの盛り上がりについて話を伺った。 

ライブ配信に感じる、SVODにはない“強み”

ーー昨年「17LIVE」に入社される以前、中島さんはライブ配信のシーンをどのように捉えていたのでしょうか?

中島亜希子氏(以下、中島) :動画サービスにおける波はいくつかあると考えていて、まず第一波がテレビ、第二波がSVOD(定額制動画配信)で、そして次に第三波として来るのがライブ配信だと感じていました。 前職のNetflixはまさにSVODでしたが、ユーザーが視聴するタイミングがそれぞれ違って、話題になるタイミングにもばらつきがあるのが欠点だったんです。一方、ライブ配信はリアルタイムでコミュニケーションが取れるので、今後絶対に支持されるだろうと思い、「17LIVE」への入社を決めました。

ーー前職のNetflixやそれ以前のお仕事も含め、海外の企業に長くお勤めされていますが、グローバルな視点で見たときに、日本のライブ配信市場は今後スケールアップしていく可能性があると感じたのでしょうか。

17LIVE Global Chief Brand & Marketing Officer(CBMO) 中島亜希子
17LIVE Global Chief Brand & Marketing Officer(CBMO)の中島亜希子氏

中島:はい、そう思っています。ライブ配信の先進国である中国では、ライブ配信はモバイルゲーム市場の半分近い規模になっています。その構図を日本に当てはめると、5000億円のマーケットが生まれることになります。実際、弊社の認証ライバーだけでも、この2年間で35,000名以上増え、企業や団体からお声がけいただくことも増えました。アメリカやインドと比較すると、日本ではまだライブ配信の認知度が若干低いですが、そのぶん伸びしろが大いにあると感じています。もちろんユーザーの理解度が高いという点では、アメリカ、インドもポテンシャルの高い市場ですし、私たちは海外にも拠点がありますので、日本以外でも伸ばしていきたいですね。

ーー入社前にライブ配信の可能性を感じていたとのことですが、入社されてみて新たにわかったことはありますか。

中島:まず、実際に生活の一部としてライブ配信を配信、視聴してくださるユーザーを目の当たりにして、これからライブ配信はさらに浸透していくだろうと確信できました。現状でも非常に多くのユーザーに楽しんでもらっていますが、私の感覚ではもっと多くの方が利用しているイメージもあったので、そのギャップを埋めていくために何ができるのかをチームや経営メンバーとも常にディスカッションを重ねています。

ーーグローバルな視点で見たときのポテンシャルと現状を見比べてみると、さらに成長できると感じられたんですね。

中島:私は日本よりアメリカでのキャリアの方が長いので、グローバルの視点を持つことはすごく大切にしています。これまでは、“海外から日本へ”向けた動きが多かったのですが、「17LIVE」を通じて、今度は”日本から海外へ”向けた発信ができたらと思っています。

 「17LIVE」は、台湾で生まれたライブ配信のサービスですが、最大のビジネス市場は日本です。人口やGDPなどマーケットのサイズにもよりますが、ライブ配信がまだ浸透しきっていない日本でもある程度のユーザーを獲得していることから、日本でもまだまだ伸びしろが大きいと思います。

 さらに、アメリカ・インドなど海外のポテンシャルマーケットには既に拠点を置いており、今後東南アジア各国との連携も強化していく予定です。

ーー海外でのキャリアが長い中島さんから見て、アメリカと日本のライブ配信文化における大きな違いとは。

中島:以前リサーチをして興味深かったのが、投げ銭(ギフティング)への意識の違いですね。アメリカはチップ文化のある国なので、投げ銭も浸透するだろうと思っていたんですが、実はそうでもないんです。アメリカ人にとって、チップはサービスを受けたお礼として渡すものなので、実質的に何も得るものがないなら払いたくない、と考える傾向があるようです。なのでアメリカのライバー(ライブ配信者)さんは、占いや、料理、ガーデニングなど、何かしらの学びがあるような配信の方が、投げ銭を得やすい傾向にあると思います。

 対して日本では、「応援したいから」と、リターンがなくても投げ銭をする精神があるんです。このリサーチは昨年のものなのですが、ライブ配信が広く定着しているアメリカでも、昨年の時点でまだ投げ銭に抵抗のあるユーザーが多い一方、日本ではそれを追い越す兆しがあるのは印象的でした。

ーーたしかに、日本は応援としての投げ銭が根付いている印象があります。

中島:日本はもしかしたら、アプリ内での課金に慣れているのかもしれませんね。どちらかというとアメリカの方が、アプリ内課金に抵抗がありそうです。

ーーそれらの知見を踏まえて、「17LIVE」がここまで成長した要因をどのように分析していますか?

中島:一番の要因は、常にユーザーのニーズを把握することに努めてきたことが挙げられると思います。特に昨年のコロナ禍において、世の中的にもオンラインシフトしている傾向がありますが、ライブ配信業界においても同様のことが起きていると捉えています。当時より「17LIVE」はチーム一丸となり、活動の場を失ったアーティストやパフォーマーたちに、ライブ配信で収益を上げることができることを示す活動を行ってきました。マーケットはもちろんですが、世の中のニーズにマッチしたコミュニケーションが取れていたから、認知度や評価を獲得できたのではないでしょうか。世論や市場のニーズにどれだけ耳を傾け、対応できるかがすべてだと思います。そして、バリエーション豊かなギフトの開発などのプロダクト面はもちろん、アプリ内で常時実施しているイベントの豊富さや、ライバーがアプリの外でも活躍できるような場を提供するなど、ライバーの支援に力を入れてきたからこそ、今があるのかなと。もちろん、サービス立ち上げ当初から楽しんでくださっているロイヤルなユーザーさん達に恵まれたことも決して忘れてはいけない要因ではあります。

ーー中島さんが入社されてからの約1年間、役職やそれに伴うミッションも含めてさまざまな変化があったかと思いますが、順序立ててご説明いただけますか?

中島:そうですね、入社してからすでに2回役職が変わり、現在はGlobal Chief Brand & Marketing Officer(CBMO)として日本およびグローバルでのブランディングとマーケティング全般を統括しています。私にとっては嬉しいキャリアチェンジで、仕事の幅が広がりました。そして役職が変わっても「『17LIVE』をユーザーの日常生活の一部にする」というミッションは変わりません。すでに毎日利用してくださってる方もいますので、そういうユーザーをもっと増やしていきたいですし、世界に向けては、グローバル規模で通用するブランドにすることがミッションです。

 内部に関しても、よりグローバルな企業にしていきたいですし、従業員の皆さんがやりがいを感じられる会社になれればいいなと思っています。弊社では事業として目指す方向を全員が共有する心構え「Whatʼs best for 17LIVE」をベースに、「Respect Everyone」「Focus On Goals」「Break The Norm」の3 項目から成り立つ「17LIVE Core Value」という行動指針を掲げておりまして、これをより浸透させていくことも目標の1つです。

ーー今年の9月に「17LIVE(イチナナライブ)」から、社名・サービス名を「17LIVE(ワンセブンライブ)」へ統一するリブランディングを行いましたが、改めて実行したタイミングとその理由について教えていただけますか?

中島:メインの理由は二つありました。一つ目は、新しいミッションを掲げブランドをアップデートすることです。台本がない日常を自分らしく表現し、誰とでもつながることができる世界を目指して、『「ライブ」テクノロジーを通して、 人と人のつながりを豊かにすること。』を新たなミッションに制定しました。二つ目の理由は、グローバルでサービス名称やロゴを統一したかったからです。以前はアメリカでの名称(LIVIT)や、台湾・日本・アメリカのロゴがそれぞれ違っていて、世界的ブランドとしてさらに成長していくためには、できるだけ早いタイミングでリブランディングする必要があると考えていました。また「17LIVE」が有する数字には、“1”つの空の下、“7”つの大陸を越えて世界中の人々と一緒につながる、という意味が込められているので、皆さんに「ワンセブン」と呼んでいただきたい気持ちもありました。

 通常リブランディングには2、3年かかると言われていますが、今回は1年で実行したので、社内のブランドチームには苦労をかけたと思います。ただ今年の9月は、浜崎あゆみさんとのコラボオーディション企画や、『SUPERSONIC 2021 on 17LIVE(『スパソニ』)』など、大規模なイベントを発表するタイミングでもあったので、この時期に合わせてリブランディングを行うことに大きな意味がありました。結果、ユーザーの皆さんから温かく受け止めていただけたと思っています。

ーーグローバルな企業を目指すにおいて、今後特に力を入れていきたい国や市場はありますか?

中島:台湾や香港はライブ配信の浸透度が日本より高いので、競合と戦いながら伸ばしていきたいです。あとはインドでしょうか。ITリテラシーが高い国ということはもちろんですが、IT文化が浸透しやすい10代〜40代の人口の多さや、経済の成長率から見ても、非常に大きなマーケットですし、ライブ配信とマッチすると思っています。現在では最もポテンシャルのあるおもしろいマーケットの一つと捉えているので、伸ばしていきたいですね。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる