錆びたコイルからクナイを作り出す 漫画のアイテムをDIYするパキスタンのYouTubeチャンネル
日本では、なかなか目にすることのできない独創的な企画を送り出す海外のYouTuber。今回紹介するのは、パキスタンのYouTubeチャンネル「ランダムハンズ(Random Hands)」。錆びた鉄や鋼などを加工し、美しい物に仕上げる動画が特徴的だ。
現在、ランダムハンズはチャンネル登録者数が463万人、総再生回数は約7.5億回にものぼる。数々の動画の中でも、日本の文化に触れた「Rusty Coil Spring FORGED into a KUNAI(錆びたコイルスプリングでクナイを鍛造する)」が特におもしろい。
クナイとは、日本の戦国時代や江戸時代に活躍した「忍者」が用いる武器の一種、と言われている。また、武器としてだけではなく、壁や地面を掘る用途としても使われたようだ。
クナイの材料に使うのは、錆びた鋼のバネだ。動画では、日常生活でめったに見ることがないような、とても大きなバネを使っている。
成型するために、まずは錆びたバネに高温で熱を与える。高温のバネを取り出したあと、工具で一気に叩き、平らに引き伸ばす。このように、高温で熱を加えて成型する工法を「鍛造」と呼ぶ。この鍛造がとても大変な作業で、まっすぐ平らに成型するまでに何時間もかかっていた。
次に、鍛造で平らにしたバネを、クナイの形に切断する。特に、持ち手付近の切断では、丁寧かつ繊細な作業が行われていた。
切断したクナイの表面を、今度はベルトサンダー(研磨機)を使ってきれいに磨いていく。丁寧に磨くことで表面にツヤができて、より美しい仕上がりになる。
他にも「クナイの持ち手をヤスリで磨く」などの加工を経て、再度クナイに高温の熱を加える。そして、高温で熱したクナイを油に入れて、冷ます。この工程によって、クナイの強度や硬度をより高められるようだ。
最後の仕上げに、サンドブラストという工法で、表面を磨き上げる。その後「ガンブルー液」という黒染めの液体を塗りつけたら、クナイの完成だ。持ち手にはガーゼのようなものが丁寧に巻かれており、再現度は非常に高い。
多くの工程を経て丁寧に作られたクナイだけあって、先端はとても鋭く、その威力は絶大。木材に投げれば突き刺さり、飲料入りのペットボトルに投げれば貫通するほどだ。忍者から投げられることを想像するだけで、とても恐ろしくなる。
動画のコメント欄では、「とても良いクナイ“だってばよ”」というように、忍者が題材になった漫画『NARUTO -ナルト-』を意識したコメントが英語で残されており、漫画を通して日本の文化が親しまれていることがよくわかる。
他にも、ランダムハンズは「錆びた鉄の鎖から“刀”を作る」というような、興味深い動画を多く投稿しており、海外動画とはいえ、動画内では英語があまり使われないため、英語がわからない方でも十分に楽しめる内容となっている。この機会にぜひ視聴してほしい。
・ランダムハンズのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/randomhands