スケートボード文化を変えたビデオカメラ「Sony DCR-VX1000」 発売から26年経った今でも愛され続ける理由とは?
VX1000が愛され続ける理由
2001年に生産完了になったVX1000。何故ここまでスケーターたちに愛されるのだろうか? それには複数の理由がある。最も大きな理由は、巨大なデスレンズと組み合わせたときの画角である。HDの「19:16」ではなく、「4:3」の画面に広角レンズを使用したときの画角がスケートボードに最適という意見があるのだ。画面の中央にスケーターが映るように撮影したとき、「16:9」より縦長の「4:3」のほうが、スケーターの全体像を捉えやすいのだ。上下にスペースがある「4:3」のほうが、頭や足が見切れる心配も少ないため、よりスケーターに近づいて臨場感を出せるのだ。また、「16:9」は横長であるため、周りの風景などが映像に入りやすい。そのため、「4:3」はスポットライトのように、中央のスケーターに意識がフォーカスされるという意見もある。さらに「4:3」用の丸いデスレンズの効果で、スピード感が増して見えるというのもエキサイティングな事実だ。
VX1000の上部についているグリップが、スケートボードの撮影に最適であったというのは言うまでもないだろう。フィルマーもスケートボードに乗った状態で撮影する「追い撮り」をするときに、グリップは必須である。画角、マイク音声、臨場感、スピード感など、どれをとってもVX1000はスケートビデオにとって「オーセンティック」の代名詞であることには違いない。
近年、1990年代や2000年代のリバイバルによって、VX1000が再注目されている。徐々にスケートボードがファッションとして消費されるようになり、このようなカメラが「憧れ」の的になるなか、ベテランフィルマーのDan Wolfe氏は「本当にビデオを作るためにVX1000を使用するのか、それともアクセサリーとして欲しいだけなのか」という疑問を投げかけている。しかしBrian Panebianco(記事冒頭の「DGK-Kevin Bilyeu」を撮影したフィルマー)やRyan Garshellなどの、当時のスケートビデオを見て育った若手フィルマーたちは、今もVX1000でスケートボードをキャプチャーし続け、文化を映像で残すことに貢献をしている。
オリンピックで「競技」として一般的にも注目されるようになったスケートボード。
しかし「ストリート文化」として発展してきたスケートボードに興味がある方は、是非名作スケートビデオを見てみるとそのオーセンティックな一面を見ることができるだろう。その際には、VX1000という、スケートボードをレンズの裏で支えたカメラがあったことを意識してみると面白いかもしれない。
それではVX1000が捉えてきた「オーセンティック」な気持ちとは何だったのか? フィルマーJosh Stewart氏の「今はスケートボードは人気だけど、昔はスケートボーダーと言ったら、世間の嫌われ者だった。だから逆に自分たちが特別な存在のように思えたんだ」という言葉が上手く表している。VX1000は、世間にどのような目で見られても滑り続けた、そんな「特別な存在」と時代をキャプチャーしていたから、オーセンティックな映像を残すことができたのかもしれない。
(画像=Sony/Jenkem/World Industries/Baker 3/RIDE Channel)
(Source)
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/design/gallery/DCR-VX1000/
https://www.jenkemmag.com/home/2018/07/13/tracing-history-skateboardings-most-famous-camera/
https://www.redbull.com/us-en/evolution-of-video-cameras-in-skateboarding
https://youtu.be/tvzwCPoXclQ
https://youtu.be/gN4f5qcMwsw
https://schneiderkreuznach.com/en/cine-optics/products/cinematography/century