全盲女性や車いす女子の「モーニングルーティン」からみる、“ふつう”のアップデート

モーニングルーティンからみる「#ふつうアップデート」

 8月24日から「東京2020パラリンピック」が始まる。民放各系列では初めて一部競技を生中継するとともに、競技ハイライトを放送することが決定。走り幅跳びの山本篤、車いすテニスの国枝慎吾などメダルに期待がかかる。

 東京オリンピック・パラリンピックが掲げた大会理念の柱は「多様性と調和」。人種、セクシュアリティや宗教など、全ての人が同じではない。認め合うことが大切なのだと示している。しかし、他者との違いで生きづらさを感じている人は多い。そんな「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー」にとっての“バリア”をなくす、みんなのためのバリアフリー・バラエティー」がある。NHKで現在放送中の『バリバラ』だ。地上波での放送だけではなく、NHKの公式YouTubeチャンネルには『バリバラ』関連の動画が多くアップされている。

 今回着目したいのはモーニングルーティン動画。YouTubeの定番企画で、数多くの著名人やYouTuberがモーニングルーティンを公開している。『バリバラ』が紹介しているのは「1人暮らし 全盲女性のモーニングルーティン」「1人暮らし車いす女子のモーニングルーティン」の2つ。「1人暮らし 全盲女性のモーニングルーティン」で登場しているのは、石田由香理さん。朝起きて白湯を飲み、服を着てメイクをして出発。よくあるモーニングルーティンのように感じる。

 このモーニングルーティンには石田さんの「ふつう」が詰まっていた。まずは服選び。素材や形で服を覚えている。色は、盲学校の先生に教えられたイメージや明るさや鮮やかさの知識を積み重ねて自分なりの感覚があるそう。顔を洗うとき一緒に洗うのは義眼。1日2回ささっと水洗いでOKだという。また、メイクは艶肌メイクにハマり中。アイシャドウはまぶたに触れる感覚で塗れている範囲を確認。マスカラはまつげにブラシが触れる感覚で調整しているそう。トータルでうまくいくとかなり気分が上がるという。

 また、「1人暮らし車いす女子のモーニングルーティン」で登場しているのは、OLのあずみんさん。体に障害があるため、朝1時間ヘルパーを利用。生活で欠かせないのは電動車いすだという。おでこ、着替えは介助が必要。服はSサイズを買って、お店や実家でお直しして着ているそう。ナチュラルメイクにハマっており、特にこだわりがあるのは眉毛。うまく描けると1日ハッピーに過ごせると語っていた。

 どちらの動画でも最後に「これが私のふつうの朝です」と締めていた。朝食を食べる人もいれば食べない人もいるように、モーニングルーティンは人によって異なる。モーニングルーティンの「ふつう」は人それぞれのように、石田さん・あずみんさんにとっての「ふつう」はこのルーティンなのだ。『バリバラ』では、この春から新たなチャレンジとして「#ふつうアップデート」を始めた。

 番組HPでは「いろんなのひとの『ふつう』を知ることで、みんなの『ふつう』をアップデートできるはず。」と書かれている。ついつい気軽に「ふつう」という言葉を使ってしまうが、自分と他者の「ふつう」は違う。他者の「ふつう」に触れ、受け入れることで「多様性と調和」に繋げていきたいものだ。

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