『マリオ』に『ゼルダ』……なぜレトロゲームの高額落札が続く? 次のプレミアゲーム予想も
昨年から中古ビデオゲームの超高額での落札が続いており、市場は盛り上がりを見せている。先月には、『ゼルダの伝説』が87万ドル(約9,600万円)で、『スーパーマリオ64』が156万ドル(約1億7,000万円)で落札され大きな話題となった。本記事では、高額取り引きが相次ぐ理由を考察するとともに、専門家による次のプレミア商品予想をご紹介する。
米市場調査企業、ニールセンが昨年行った調査によると、米国在住者の55%が、自粛期間中にビデオゲームをプレイしていたという。また別のデータでは、コロナの感染拡大からの1年間で、中古ビデオゲームの価格が33%も上昇したことがわかった。
米メディア『The Verge』によると、『マリオ』、『ゼルダ』の両ゲームの査定を手がけた、ワタゲームズCEO、デニス・カーン氏は、「結局のところ、需要を満たすのに十分な状態の良い中古ビデオゲームの供給が少ないからだ」と分析しているという。同氏は「ここ数年、漫画やコイン、カードなど、他の分野の収集を始めた人はたくさんいて、コレクション市場は成熟している」とし、「ゲームのコレクターたちは、スポーツカードや漫画などと比較して、未開封のビデオゲームが非常に少ないことを理解している」と述べた。
そしてもう1つ、同氏が価格高騰の要因としてあげたのが、インターネットオークションの普及だ。「4、5年前は、10人ほどの人しかそのゲームが販売されていることすら知らなかった。売買はとてもクローズな状態で行われていた」としている。たしかに現在では、世界中の人が商品にアクセスし、価格の変動を確認することができる。
最近の高額ゲームはすべてヘリテージ・オークションズから誕生しているが、同社の商品は、出品前にワタゲームズによる厳正な査定が行われる。この工程も、購入希望者に品質保証の安心感をもたらし、購買意欲を高めているのかもしれない。
一方ヘリテージ・オークションズのビデオゲーム担当ディレクター、バレリー・マクレッキー氏があげたのは、“懐かしさ”だ。上述の『スーパーマリオ64』の落札者は明かされておらず、なぜこれほどの金額で購入したかは定かではないが、「超レアなゲームを購入している人々は、“懐かしさ”に動かされている。彼らは子どもの頃にプレイしたゲームの、新品同様の品を探している」と述べた。
ワタゲームズの取締役、ライアン・サブガ氏もまた、米メディア『Insider』の取材に「大人になって収入が増えてきたことで、ビデオゲームに多くの情熱を注ぐことができるようになった。彼らは手付かずの、文化的に重要なお気に入りのゲームを所持することによろこびを感じている」と語った。そして「スーパーファミコンとニンテンドウ64をプレイして育ったミレニアル世代は、コレクション市場の新たなターゲットだ。より多くのミレニアル世代が年を取り、可処分所得も増えている。『マリオ』の156万ドル(約1億7,000万円)が史上最高価格で終わる可能性は低い」との見解を示した。