増加する「音楽×メンタルヘルス」のスタートアップ 27CLUBの楽曲を解析するAIも
さらに、メンタルヘルスに特化したカナダの非営利系組織「Over the Bridge」の取り組みも見逃せない。同組織は27歳という若さでこの世を去ったミュージシャンのカート・コバーンやエイミー・ワインハウス、ジミ・ヘンドリックスらへの追悼の意を込めて、彼らが手がけた音楽(歌詞やリズム、メロディーを含む)を解析し、ひとつひとつの歌詞の断片を繋ぎ合わせて真新しい音楽を生成するAIを開発した。
「Over the Bridge」の調査によると、ミュージシャンの6割以上がうつ病などを経験しており、音楽業界における自殺者の数は他の業界と比べ2倍にものぼる。ちなみに、カート・コバートやエイミー・ワインハウス、ジミ・ヘンドリックスはいずれも薬物乱用や心の病気が原因で亡くなっている。同じ過ちを繰り返すまいと、音楽が持つ癒し効果に着目し、立ち上がったのが「Over the Bridge」というわけだ。
うつ病や認知症などの治療にもなると、とにかく長期戦だ。しかも、薬剤を使用した従来の治療法の場合、深刻な副作用に悩まされるケースも少なくない。その点、AIによる音楽処方の場合、副作用の心配がない分、患者への負担が軽減され得る。AIがメンタルヘルス領域において果たし得る役割には今後も注目だ。
(画像引用元:https://unsplash.com/photos/BuNWp1bL0nc)
■大澤法子
翻訳者、ライター。AI、eスポーツ、シビックテックを中心に動向を追っている。
〈Source〉
https://www.med-technews.com/news/ai-and-vr-in-healthcare/ai-powered-tech-could-lead-to-prescribed-music-for-anxiety-a/
https://www.zdnet.com/article/muru-music-looks-to-launch-ai-music-therapy-platform/
https://www.kctv5.com/ai-generated-nirvana-hendrix-songs-shine-spotlight-on-music-industry-mental-health/article_4aca9aad-339e-542e-8fa7-5ca279666f50.html