未成年のSNS・アプリ利用、トラブル時に親よりもサポートを頼る理由は?

未成年のSNS・アプリ利用、トラブル時に親よりもサポートを頼る理由は?

 昨今は小さな子どもでもネットを当たり前のように使いますが、具体的にどんなふうに使っているか、大人は把握しているのでしょうか? どんなアプリを使っているのか、どんな人たちと交流を持っているのかなどは、子どものプライバシーを守る観点でも、踏み込みにくいですよね。

 しかし、プライバシーだからと介入を遠慮していたら、あとで後悔するかも。

 というのも、The Vergeの記事によると、未成年のプラットフォーム利用率は大人が想像しているよりも高く、トラブルに巻き込まれても親や信頼できる大人に頼っていないのだそう。

 では、子どもたちはどこに助けを求めているのでしょうか? それは、プラットフォームのサポートなのだそうです。

■未成年が巻き込まれるトラブル

 まず、大前提として、SNSなどのプラットフォームは18歳以下の利用を禁止しています。

 ところが、子どもたちを性的虐待から守るテクノロジーを開発する非営利団体「Thorn」の報告によると、アメリカの子どもたちの多くが13歳になる前に、Snapchat、Facebook、YouTube、TikTokなどのプラットフォームを使い始めているのだとか。

 9〜12歳の子どもたちが日常的に使っているプラットフォームは以下の通りです。

Facebook:45%
Instagram: 40%
Snapchat: 41%
TikTok: 41%
YouTube: 78%

 そして、驚くべきことに、9〜17歳の実に25%が、18歳以上と思しき相手と性的なやりとりをしたと回答しているのです。

 さらに大人の不安を煽るようなデータがあります。こういった問題に対して、子どもたちは親や信頼できる大人よりも、プラットフォームのブロックや報告機能を利用しているのだそう。Thornによると、9〜17歳の子どものうち、83%が加害者を報告、ブロック、ミュートしたのに対して、大人や仲間に伝えたのは37%だったとのこと。

サポートを利用することで問題が解決できればいいのですが、半数以上の子どもが、同じ加害者に見つけられ、別のアカウントで連絡を受けています。これは、実際の知り合いでも、オンラインのみの交流の場合でも、ほぼ同じ数字でした。

 また、LGBTQ+であることをカミングアウトしている子どもたちは、そうでない子どもたちと比較して、被害を受ける確率が高いという数字が出ており、性的交流も、そうでない子どもたちより非常に高い割合で行われていることがわかっています。

■未成年が被害に遭っているプラットフォーム

 Thornによると、未成年は全てのプラットフォームで被害に遭っているとのこと。被害の可能性を報告したプラットフォームは以下の通りです。

Messenger:18%
Instagram: 26%
Snapchat: 26%
TikTok: 18%
YouTube: 19%

 オンラインで性的なやりとりをしたと答えた未成年者が多かったのは以下の通りです。

Messenger:11%
Facebook: 10%
Instagram: 16%
Snapchat: 16%

 SnapchatとInstagramで被害が多いようです。

 馴染みのない人たちにSnapchatを簡単に説明しましょう。Snapchatは、アメリカの10代の子どもたちが選ぶSNS1位になったほど人気のプラットフォームです。登録したフレンドに写真を送ったり、テキストを載せたりするだけでなく、フレンドとチャットをしたり、写真をストーリーに載せたりすることができます。Instagramと似ていますが、最大の特徴は投稿が10秒で消えてしまうことでしょう。

 この「たった10秒」のおかげで、「映え」や「いいね」を気にしなくていい気軽なSNSとして人気が出ました。一方で、「たった10秒だから」と、子どもたちの警戒心を緩ませてしまう可能性があることは否めません。

■ブロックや報告機能が子どもを守ってくれるのか

 多くの未成年がプラットフォームを使い、トラブルに巻き込まれ、ブロックや報告機能で身を守ろうとしていることがわかりました。しかし、Thornによると、残念ながらプラットフォームのサポート機能は、配線が切断された火災報知器のように意味をなしていないというのです。

 というのも、SOSを出した子どものうちの1/3が、プラットフォームが対応するのに1週間以上かかったと回答し、22%が解決されなかったと答えているのです。

 対応が遅れれば、その間も被害に遭い続けるでしょう。そのような状況に置かれた子どもの精神的負担は想像に難くないでしょう。

 そんな時に親や信頼できる大人を頼って欲しいところですが、やりとりの内容を知られたくないがために、自力で解決を図ろうとする子どもの気持ちも理解できます。9〜12歳の男子の27%がデートアプリを使ったことがあるというデータも出ており、大人と子どもの間での認識の差も生じていて、子供が相談しにくい状況になっている可能性もあるでしょう。

 大人に相談しにくいのなら、やはりプラットフォーム側に、未成年がサービスを利用しているという事実を認めた上で、サポートを強化してもらう必要がでてきます。

 そこで、The VergeはThornのデータを各プラットフォームに送り、改善について質問してみたそうです。返答を抜粋します。

 Snapchat:「ここ数ヶ月、アプリ内での教育やサポートツールの拡充、報告ツールの改善、未成年者の保護の強化、保護者向けリソースの拡充に取り組んできましたが、調査結果を踏まえて、さらに対応できるよう、追加変更をおこないます」

 FacebookとInstagram:「10代の若者とInstagramでフォローしていない大人とのダイレクトメッセージを制限したり、10代の若者が大人との不要なチャットを避けるためのサポートや、大人が10代の若者を検索困難にしたり、報告ツールの改善や、子どもの安全ポリシーを更新することで、より多くの違反コンテンツを削除するなどの改善を行ってきました」

 Thornの調査報告に感謝する一方で、10代の若者の多くが活用している、iPhoneのiMessageを調査から除外したことにより、見解は偏ってしまっています。iMessengerの利用者は、MessengerとInstagram Directを合わせた数よりも多いのですから。

 YouTube:「YouTubeは13歳未満の人のためのものではないため、2015年にYouTube Kidsを創設しました。最近では、トゥイーン(8~12歳)やティーンがYouTubeを使うに相応しいと判断した保護者のために、監視付きアカウントオプションを発表しました」

 TikTok:「これまでに、13〜15歳のアカウントをデフォルトで非表示設定にしたり、10代前半の若者向けへのダイレクトメッセージを制限したり、未成年の疑いのあるアカウントを削除する場合はTransparency Reportsで報告してきました」

 プラットフォームは、未成年者のアクセスとそれに伴う弊害や問題に対して、さまざまな対策を講じてきましたが、業界全体の基準や解決策に関する協力体制はまだ確立されていません。また、保護者や法を作る議員らは、この問題についてほとんど知らないようです。

■子どもを守るために

 年齢制限を設けたところで、未成年がプラットフォームを使うのであれば、企業は今以上にサポート体制を強化するのは必要不可欠です。

 そして、大人は、プラットフォーム任せにするのではなく、子どもたちが使っているプラットフォームを正しく理解し、さらに性的なやりとりをしている可能性を認識することが大切ではないでしょうか。

 印象や聞き齧った情報だけを頼りに、子どもを締め付けたり注意しても、「やっぱり大人はわかってくれない」と思われるだけでしょう。大人が少しも意識を向けないよりマシですが、子どもが大人に不信感を抱くほど表面的なことしか言わないのであれば、逆効果です。

 また、問題が発生して相談された時に、それが性に絡むことであっても取り乱さず、受け入れて対応することが望まれるでしょう。

 筆者には8歳の子どもがいますが、まだまだ幼いと思っていても、1年後にはデートアプリを見る可能性があるのだと、この記事を書きながら認識を改めました。

画像=https://unsplash.com/photos/ZYLmudR28SA

■中川真知子
ライター。1981年生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。好きなジャンルはホラー映画。尊敬する人はアーノルド・シュワルツェネッガー。GIZMODO JAPANで主に映画インタビューを担当。Twitter

Source: https://www.theverge.com/2021/5/12/22432863/child-safety-platforms-thorn-report-snap-facebook-youtube-tiktok

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