道明寺ここあ所属のRIOT MUSICが発揮する“リアルな魅力” 初のリアル&オンライン同時ライブを見て

RIOT MUSICが発揮する“リアルな魅力”

 3月21日、道明寺ここあ、芦澤サキ、松永依織、長瀬有花、凪原涼菜が所属するバーチャル音楽事務所・RIOT MUSICの1stライブ「Re:Volt」が横浜ベイホールで開催された。


 RIOT MUSICは、道明寺ここあの再スタートに際して2020年4月にはじまったバーチャル音楽事務所。同年5月に芦澤サキが加わり、オーディションを経て9月に松永依織、長瀬有花、凪原涼菜が所属している。今回は現地会場とオンライン配信の同時開催で、ささきさくら(G)、Gassy(G)、Ayano(B)、二千翔(Dr)、麻来-maki-(Key)からなる5人編成の生バンドが全編をサポートする。これまで「RIOT LIVE」と呼ばれるオンラインライブシリーズは開催されてきたものの、リアル会場もつかった公演は今回が初。所属メンバーが初めてリアル会場に集合し、ファンの目の前でライブをする記念すべきステージとなる。


 まずはOP映像が流れると、道明寺ここあが登場し、水樹奈々の「ETERNAL BLAZE」のカバーでライブをスタート。この曲は動画シリーズ「ここあStory」内で楽しめるボーカルコンテスト「RISING HOPER」の決勝審査でも歌われた、道明寺ここあの再始動第一弾カバー曲。“RIOT MUSICのはじまりの曲”となる。ペンライトによるファンの声援を受けながら、ステージ映えする立ち姿や力強い歌声で、一気に観客をライブに引き込んでいった。


 その後はステージに5人が集まってMCした後、引き続き各メンバーのソロパートへ。これまでYouTubeチャンネルで動画投稿してきたカバー曲を披露した。凪原涼菜は、「創聖のアクエリオン」を伸びやかな歌声と深みのある表現力で熱唱し、長瀬有花は持ち前のふわふわとした歌声で、ぴょこぴょこ動きながらやくしまるえつこの「ヴィーナスとジーザス」を披露。松永依織は「いくよー!」と一気に会場を盛り上げながら『となりの怪物くん』のOPテーマとして知られる戸松遥の「Q&Aリサイタル」を熱唱。一方でロック曲が似合うパワフルで尖った歌声の芦澤サキはSPYAIRによる『銀魂'』のEDテーマ「サムライハート(Some Like It Hot!!)」を披露するなど、カバー曲を通して5者5様の魅力が伝わってくる。





 RIOT MUSICのメンバーの活動を見て感じるのは、VTuber事務所の中でも、リアルのアーティストにかなり近い雰囲気を持っていること。VTuberには動物や鬼など様々な属性を持っている面々も多くいる中で、RIOT MUSICのメンバーは全員がそのまま現実の世界に存在しているようなリアルな魅力があり、アニソンやボカロ曲といった二次元カルチャーに親和性の高い楽曲だけでなく、様々な年代のJ-POP、バンド曲なども含む動画でのカバーの選曲も、そのリアルさとよくマッチしているように感じられる。どこかの街で出くわしそうな、リアルで等身大の雰囲気があることが、5人の魅力のひとつと言えそうだ。

 ライブは引き続き、メンバーそれぞれがもう1曲ずつカバー曲を披露。松永依織が「さぁ (saxa)」、長瀬有花が「気分上々↑↑」、芦澤サキが「CORE PRIDE」、道明寺ここあが「only my railgun」、凪原涼菜が「アンインストール」をそれぞれパフォーマンス。冒頭のMCでは「緊張する」と言っていたメンバーもこの頃にはリラックスしてパフォーマンスにのめり込んでいくような雰囲気で、ペンライトで声援を送る観客の熱気もさらに増していった。

 ここで一旦ゲストコーナーへ。今年2月に開催されたKMNZの後輩にあたるヨミとカスカによるデュオ・VESPERBELLのライブにも出演した凪原涼菜と松永依織の2人が、今度は自分たちのライブにVESPERBELLを迎え入れてステージを披露。まずはヨミと凪原涼菜が『STEINS;GATE』のOPテーマ「Hacking to the Gate」を歌い、凪原涼菜の高音が伸びやかな歌声と、ヨミの力強くハスキーな歌声がハモりながら重なる様子に観客も盛り上がる。中でも長身ですらっとした2人が向き合って歌う場面のクールさが印象的だった。


 一方、カスカと松永依織は、緑黄色社会の「Mela!」をカバー。ホーンをつかったきらびやかなイントロがはじまると、観客が白とオレンジのペンライトを振り、一体感溢れる雰囲気の中で華やかで心躍るようなパフォーマンスを見せてくれる。最後は4人全員で、米津玄師の「ピースサイン」をカバー。直前の2曲でそれぞれに感じられた「クールさとキュートさ」「シャープさと華やかさ」といった異なるカラーがひとつになり、歌い出しから4人揃って手を掲げたり、声を合わせたりすることで一体感が生まれていたのが印象的だった。

 とはいえ、ライブのクライマックスはここから。この日注目を集めたのは、何と言っても終盤に披露されたオリジナル曲の数々だ。既にリリースされている道明寺ここあ、芦澤サキの楽曲だけでなく、このライブでは昨年9月に加入した松永依織、長瀬有花、凪原涼菜のオリジナル曲も初披露され、いよいよ所属メンバー全員のオリジナル曲が揃うことになった。

 芦澤サキの「孤独に咲け」は、途中にアクセント的に加えられるがなりなどで楽曲の雰囲気が見事に表現されていて、誰にも媚びない独特の魅力が引き立つような雰囲気。続く松永依織の「カクテルライツ」は、「カクテル=お酒」という彼女らしいテーマでありつつ、AORやファンク調のポップスなどにも通じる洒脱なシティポップ。凪原涼菜の「雲透きの詩」は彼女が好きな「文学」の要素を意識したバラードで、透明感のある伸びやかな声の綺麗さが際立つような楽曲になっている。

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