SpotifyがPodcastに注力する理由 目指すは“音声クリエイター”に欠かせないプラットフォーム
Spotifyが2月23日、オンラインイベント『Stream On』を開催。世界で85の新しい国と地域に、36の新しい言語でSpotifyを提供することや、ロスレス音源で楽曲を楽しめるSpotify HiFi、バラク・オバマ元米国大統領とブルース・スプリングスティーンによるポッドキャスト番組『Renegades: Born in the USA』の配信開始など、多くの発表を行った。
音楽・ポッドキャスト・広告など、さまざまな新展開を迎えたSpotifyは、どこへ向かおうとしているのだろうか。デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミは、今回の発表から受けた印象について「音声コンテンツへの注力ぶりが見てとれた」と語る。
「今回の発表については、ポッドキャストをはじめとする音声コンテンツクリエイター向けのものが多かった印象です。オバマ元米大統領とブルース・スプリングスティーンや、DCと組んだ『Batman Unburied』など、大型ポッドキャスト番組の開始につい目を奪われがちですが、ポッドキャストの有料サブスクリプションプランを米国内でテストすることや、セルフサービスの広告プラットフォーム『Spotify Ad Studio』のベータテスト開始など、インディペンデントなクリエイターのマネタイズをサポートする取り組みに、特に注力しているように感じました。実際に『Podcaster』と呼ばれる個人配信者もかなり増加していますし、彼らがマネタイズする手段は必要とされてきましたから、広告やデータ分析機能を充実させることで、さらにクリエイター・番組の数を増加させていく狙いでしょう」
ジェイ氏はそのなかでも、特にAnchorに関する取り組みが興味深いと続ける。
「Anchorは2019年にSpotifyが買収したポッドキャスト配信アプリで、音楽で言えばTuneCoreのようなデジタルディストリビュートサービスです。このアプリを使うことで、Spotifyをはじめとした各サービスへ簡単にPodcastを配信できます。AppleやGoogle、Amazonなど、Spotify以外のサービスにPodcastを配信する際にも使われることが多いサービスをSpotifyが持っていて、その機能がさらに強化されたり、動画にも対応するようになることで、音声コンテンツクリエイターにとって欠かせないツールになることは、向こう数年にわたって影響してくると思います」