ポストコロナで市場規模9兆円超え? インド経済の驚異的成長支えるAI業界の健闘

インド経済支えるAI業界の健闘

 コロナ禍に伴い経済活動が縮小し、景気が著しく落ち込み、終息後における世界恐慌の到来さえも予期されている今日。そんななか、ポストコロナにおいて急成長を遂げると予想されているのが、米国のシリコンバレーに匹敵するIT集積都市を複数抱えるインドだ。

 国際通貨基金(IMF)が纏めた2021年の景気回復の見通しに関する最新の調査によると、コロナ禍真っ只中であった2020年におけるインドの実質GDPは8パーセントの落ち込みとなったが、今年は前年を上回る11.5パーセントの実質GDPをもって経済回復が見込まれ得るという。総額にして1兆米ドル(約100兆円)規模の経済回復だ。2020年前半は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うロックダウンが影響し経済が縮小したものの、後半以降、経済活動の立て直しに成功、その結果は2021年の経済成長予測にも反映されている。

 インドにとって最大のライバル国は中国。2021年における実質GDPはインドよりも3.4ポイント下回る8.1パーセントである。とはいえ、欧米を含む諸外国と比べても、インドに次いで高い回復率を示している。ちなみに、2020年の日本の実質GDPは-5.1パーセントを記録。2021年は前年のマイナス成長から転じて、3.1パーセントの成長率での経済回復が予想されている。

 インドにおける劇的な経済回復が予想される背景には、AI業界の健闘が大きく関係している。インド紙「Hindu BusinessLine」によると、インド国内のAI市場は200億米ドル(約2兆円)にものぼる。2019年から2024年までの5年間でAI業界は加速度的に成長し、2024年には950億米ドル(約9兆5千億円)規模に達する見通しだ。コロナ禍をきっかけにAIの導入機会が世界的に増大しているが、なかでも「人間はAIと対立するのではなく、AIに生かされ得る」という信念を誇示するインドでは、ITエンジニア人材の需要が伸び傾向にあるという。

 インドの企業の経営幹部の多くが「いま最も優先的に取り組むべき」と考える課題がテレワークの恒常化である。人材重視の施策、自社技術および他社との業務提携がコロナ禍およびポストコロナにおける成功のカギを握るとするなかで、2023年までにその目標を達成し、ポストコロナの流れに持っていく方針だ。また、学校教育の在り方においても見直されつつあるが、このコロナ禍はインドITにとっての転機となったのだ。

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