M-1ファイナリスト、ニューヨークの“すべて”が詰まったYouTube 一般人を巻き込んだ企画で曝される「リアルすぎる姿」
相手の女性から爆笑をかっさらってる回もあれば、地獄のように何も噛み合わない回もあり、このガチンコ感がたまらない。むしろ2人がウケているときよりもスベったときのほうが観ている側は面白さが爆発的に増すのがこの企画ならでは。上記の動画では、序盤に相手の女性の職業を当てるという流れになり、嶋佐(近藤)が「ゴリラの飼育員だ!」とボケたものの、まったく伝わらなかったあげく「ゴジラの飼育員……?」と聞き間違えられ嶋佐もただ「すいません冗談です。ごめんなさい……」と謝るしかなくなるという展開は、音声と文字だけでもただならぬ空気感が伝わってきて最高だった。
もうひとつ、ニューヨークにしかできないであろう「会話のフリして漫才をする」企画。タクシーの運転手や行列に並んでいる女子、喫煙所でタバコを吸っている人、学食にいる大学生などの近くで、2人が会話に見せかけた本ネタをガッツリ披露し笑わせられるのか、というもの。
ある意味舞台で笑わせるより何倍も難しいであろうこの企画は一筋縄でいくはずもなく、素直に笑う人もいれば、面白いとは思っていたが笑うまではいかない人、冷めた目で見る人、漫才の練習だと見抜く人、巻き込まれたら怖いと必死に関わらないようにする人など、反応が実に千差万別なのが「人間のリアル」をモロに感じられて笑いと恐怖が入り混じった不思議な感覚に陥った。
潜入ナンパ企画、会話漫才企画、これらの動画はニューヨークの絶妙な知名度あってこその企画だ。しかし、これも2020年以前の話。今年のニューヨークは先日行われたキングオブコント準優勝を皮切りにその知名度を確固たるものにし、12月20日のM-1グランプリ決勝への進出を決めるなど、確実に世間に浸透し始めている。このままお笑いファン以外にもニューヨークが広く知られるようになれば、上記のような一般人を相手にした企画は難しくなるかもしれない。だが、それ以上により面白いものを見せてくれるという確信に歓喜の震えが止まらない。
■かんそう
1989年生まれ。オールジャンルミクスチャーブログ『kansou(king and soul)』を運営。記事によって変わるテンションの落差に困惑の声多数。『QJWeb クイック・ジャパン ウェブ』『SUUMOタウン』『We Love Expedia』などでも執筆。