日本版リメイクでブーム再燃、オリジナル『24 -TWENTY FOUR-』の魅力とは シーズン3にはコロナ禍に通じる要素も
配信版ではオリジナルストーリーも
あらためて見返すと、放送当時の国際情勢が随所に織り込まれていることがわかる。「9.11」の2カ月後にスタートしたシーズン1は、ユーゴスラビア紛争を下敷きにしており、シーズン2の核爆弾テロに対する報復攻撃は、ブッシュ・ジュニアのイラク空爆を想起させる。また、バイオテロを扱ったシーズン3では、致死率の高いコルディナ・ウィルスに接触感染するという現在のコロナ禍に通じる描写もあった。初のアフリカ系アメリカ人大統領など現実になった設定もある。
2000年代は対テロ戦争の時代であり、身近にテロの恐怖を感じていた人々にとって、命がけでテロリストに挑む主人公は、自分たちの思いを託せる存在だったに違いない。戦争状態では平時の統治システムが機能しない。実力行使が容認され、テロリストを確保するため、司法取引を駆使して情報を引き出すなどの超法規的な対応が行われる。『24』が描いているのが、テロと暴力に脅かされる社会の延長線上にあることは肝に銘じたい。
シーズン1をリメイクした『24 JAPAN』は、オリジナル版の枠組を維持しつつ、日本ならではの政治情勢や家族関係を盛り込んだ。地上波での放送と別に、配信版ではオリジナルストーリーを含む60分枠のバージョンが公開されるなど、ファンには嬉しいリメイクとなった。ABEMAプレミアムではオリジナル版のシーズン1から8までを配信しており、これを機に見比べてみるのもいいかもしれない。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter