オンライン同時視聴ができる「GroupWatch」や「ネトフリシネマ」は日本人にぴったりのサービスだ

「GroupWatch」や「ネトフリシネマ」は日本人にぴったり

 先月末、米国のDisney+に「GroupWatch」が正式導入されることが発表された。「GroupWatch」とは、Disney+のコンテンツを、最大7人までリモートで同時視聴できる機能のことだ。また、国内でも渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」が、今月初旬に「ネトフリシネマ」と題し、バーチャル空間上での映画祭を実施している。

 新型コロナウイルスの影響もあるだろうが、いま各国で“人と会わずに、エンターテイメントを緒に楽しむこと”が新たなトレンドになってきている。なぜそのような動きが起こっているのか? 私見ではあれど、今一度考えてみたい。

 まず、大前提として、このような動きはコロナ以前からあったということから思考を始めよう。一つの契機といえるのは、テレビドラマの「リアタイ視聴」×「Twitterでの感想会」ではないだろうか。

 『カルテット』しかり『アンナチュラル』しかり、皆が自宅でドラマをリアルタイムで視聴し、感想や考察をつぶやき、盛り上がるといったような動きは、国内でも前々からあった。やや強引かもしれないが、『天空の城ラピュタ』のテレビ放送時に、一斉に「バルス!」とつぶやく「バルス現象」も、この一環といえるかもしれない。

 これらはあくまでテレビ放送に合わせた受動的な動きだったが、最近ではコンテンツの「同時再生」を友人やファン同士といった仲間内で呼びかけ、開催する動きも活性化している。例えば「何曜日の何時にそれぞれが自宅で作品の再生ボタンを押し、Twitterのハッシュタグを介して盛り上がる」といったようなもの。これは、複数人とNetflixのコンテンツを鑑賞し、チャット機能でコミュニケーションを図ることができる、サードパーティ製アプリ「Teleparty」にも通じる。

 よく「映画館で映画を観る良さは、みんなで感動を共有できること」というが、特に日本においては「観賞マナー」が重要視され、他者に配慮した作品を邪魔しない姿勢が尊ばれる。もちろん笑ったり泣いたりが嫌がられるわけではないだろうが、静かに画面と向き合うほうが無難ではある。つまり、「感動の共有」はそこまで前面には出てこない。

 だからこそ「ここではルールに則り、歓声を上げてもよいです」という応援上映が流行ったのではないか。ただここも、“ノリ”には個人差があるため、全ファンに向けた気軽なイベントとはまた少し異なる。

 現代日本人のオーソドックスな気質として、他者との「身体的コミュニケーション」ではなく「精神的コミュニケーション」への依存度が高いことが挙げられる。つまり、対面で会話することには抵抗感をおぼえるが、気持ちの面で「つながりたい」欲求は強いということ。そうした国民性には、身体的な“安全地帯”に居ながらにして他者と盛り上がることが可能なテレビ放送×Twitterや、オンライン視聴×チャット方式の親和性が高いのではないだろうか。

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