アメリカでスマートホーム事業が成功 HOMMA本間毅に聞く「これからの住宅と技術革新」

HOMMAに聞く「これからの住宅と技術革新」

これからのスマートホームのあり方

――技術の革新によって、スマートホームを作るときにどういうテクノロジーを入れるか、というのは今と二年後でもかなり変わっていくのではないかと思います。

本間:今のスマートホームって「スマートスピーカーで何かがオンオフできたらスマートホーム」となっていますが、それはただ単純に、音声リモコンがある家というだけじゃないかと思います。しかも今のIoTデバイスは、1デバイス入れると1アプリ必要で1アカウント必要。そうすると5つの家電に対して5つのアプリを入れなければならず、それらが横で連携することもない。でも、本当は人間の手間が減ったり、快適になったり、健康になったり、そういうところを目指していかなければいけないのでは。我々としては出発点として、まずアプリを一つにして、ログインを一つにして、スマートスピーカーとの連動もシンプルにする、ということをベースに考えています。

 あとは、例えば人が部屋に入ってきたときに、シーンが夜で先に人が寝ているなら電気をつけるべきではないなど、複数のシーンやシチュエーションが組み合わさったときに、各センサーやシステムが連携して動くことが重要だと思っています。我々はそれを「スマートオーケストレーション」と呼んでいるのですが、「照明システム」「セキュリティ関係のスマートロックやセンサー」「空調」という、最も大事で基礎的な3つに対して、「スマートオーケストレーション」を使って、生活を便利で快適でいいものにしていくことを意識しています。

――「HOMMA ONE」に関しては、株式会社サンワカンパニーやPanasonic Life Solutions Company of America、YAMAHA株式会社など、日系企業を巻き込んでアメリカで展開しているわけですが、この座組みについては随分前から考えていたのでしょうか。

本間:我々がアメリカで勝負するときにどういう強みがあるかを考えると、私がたまたま日本人の創業者で、日本の人たちと関係が作りやすいということでした。それに、システムキッチンやユニットバス、ウォシュレットのようなものは日本の方が普及しているので、そういうものを我々が上手く取り扱えば、住民の方もきっとハッピーになるし、我々もユニークな提案ができるし、関わってくださった日本の会社もアメリカ進出への足がかりになるのであれば、良いサポートができるのではないかと思いました。

――反対に、これらの企業と協力して、アメリカで培ったことを逆輸入的に日本で展開していく、ということも想定していますか?

本間:我々は、自分たちの住宅で自分たちが開発したテクノロジーを使うという、垂直統合型のイノベーションを起こそうとしているので、ハードとソフトが一体化されているわけです。とはいえ、そればかりをやり続けると、我々の成長の限界は「自分たちが立てられる家の数」に依存してしまうので、そこを切り離すことを今考えています。今すぐではないですが、我々が作ったテクノロジーを、他の家を建てているビルダーさんやディベロッパーさんに提供していくというライセンス型のモデルも考えていますし、将来的にそれを日本に持っていく可能性はあるかもしれません。

 日本は、我々が家を建てなくても住宅産業が発達していて、家を建てられる方もすごくたくさんいらっしゃるので、お互いコンセプトがわかり合えるところと協業して、最適な形で実装していく形がいいと思っています。あとは、テクノロジーだけではなく、アメリカで見てきた世の中の動向やライフスタイルの変化にも注目しています。アメリカで起きているトレンドは遅れて日本でも流行することが少なくないので、いろんな知見を提供できると思います。

 

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