和風ホラーの佳作『Shadow Corridor』が、不完全燃焼な夏に与える恐怖体験

和風ホラー『Shadow Corridor』が与える恐怖体験

 お盆が過ぎ、今年の夏もあとわずか。連休中に夏らしい遊びは堪能できただろうか。

 今年はコロナ禍の影響で、例年にはあった夏の風物詩が影を潜めている。開かれた海水浴場は例年の6割ほど。花火大会は軒並み中止。ただ出かけるにあたっても、色々と気がかりの多い夏となってしまっている現状だ。

 「それでも夏らしいことがしたい!」そんな方には、おうちで楽しめる夏の風物詩・ホラーゲームをおすすめしたい。感度の高いフリークには言わずと知れた同ジャンルの佳作『Shadow Corridor(シャドーコリドー 影の回廊)』というタイトルをご存知だろうか。

徘徊者を避けながら、日本家屋からの脱出を目指すホラーゲーム

 『Shadow Corridor(シャドーコリドー 影の回廊)』は、インディーのゲーム開発者・城間一樹によって製作された、一人称探索型のアクションホラータイトルだ。プレイヤーは敵や危険を回避しながら、ステージ内に散らばった実用的なアイテムを収集・使用し、閉じられた日本家屋からの脱出を目指す。操作するキャラクターは基本的に脅威に無力で、それらに対して「気をそらす」程度の干渉しかできない。ステルスや逃走といった消極的な行動によって危機を免れることが同タイトルにおけるアクション性となっている。

 『Shadow Corridor』は2016年2月、ニコニコ動画上で初めて開発画面が公開され、約1年半後の2017年6月に、前身のβ版的作品『影廊-Shadow Corridor-』がフリーゲームとしてリリースされた。その後、多くのブラッシュアップを経て、2019年3月にSteam版、同年8月にNintendo Switch版、さらに同年12月にPlayStation4版(家庭用プラットフォーム向けは追加要素を盛り込んだパワーアップ版『シャドーコリドー 影の回廊』)が有料ソフトとして発売となっている。

YouTuberによる配信が浸透のひとつのきっかけに

 『Shadow Corridor』は無料版のリリース時から、フリーのインディー作品とは思えない完成度が話題となっていた。製品版となり、さらに増した臨場感・没入感によって、あらためて作品としての評価が高まり、名作タイトルに数えられるまでとなった形だ。浸透の背景に家庭用プラットフォームでの展開があったことはもちろんだが、一方で配信界隈における盛り上がりも見逃してはならない。ここでは、『Shadow Corridor』の動画配信をおこなった1人の有名YouTuberを紹介したい。

 ガッチマンは、ホラーを中心としたタイトルの動画配信で有名なゲーム実況者である。運営するYouTubeチャンネル『あまり驚かないガッチマンはホラーゲームばかりやっている』の登録者数は、2020年8月19日現在、約133万人。アップした動画の総再生回数は約7億回に迫る。同氏は2019年3月、無料版をプレイした経験を踏まえ、製品版『Shadow Corridor』のプレイ動画を配信した。

 この動画では淡々とゲームが進むため、本来同タイトルが持つ恐怖感こそ緩和されているが、世界観の素晴らしさやゲーム性が余すところなく伝わってくる。彼をはじめとしたYouTuberの配信を通じて同タイトルの存在を知り、購入・プレイへと至ったフリークも多くいるはずだ。発売から1年半が経った現在でも『Shadow Corridor』の配信をおこなうプレイヤーは多くいる。こうした界隈の動きが同タイトル浸透のひとつのきっかけとなっているのは間違いないだろう。

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