AppleとEpic Gamesの抗争はユーザーのデバイスにまで 裁判所の判断に世界が注目

AppleとEpic Gamesの抗争に裁判所注目

 Appleは、人気バトルロイヤルゲーム『Fortnite』のApp Store課金をめぐり紛争状態にあるアメリカのゲームスタジオEpic Gamesが開発し、この紛争と直接関係のないゲームエンジンUnreal Engineを遮断すると通告した。Epic Gamesは、8月17日に差し止め命令を申し立てた。

Appleの独占に異を唱え、返り討ちに

 Epic Gamesが開発・運営を行う『Fortnite』モバイル版で、独自の課金システム「Epic Direct Payment」を実装し、App Storeの手数料を回避したことに端を発し、Appleが規約違反としてApp Storeから『Fortnite』を削除した。

 Epic Gamesは、Appleの独占状態に異を唱え、ユーザーにもAppleへの抗議をするように煽った。そこでAppleは一歩踏み込んで、幅広く利用されている無料ゲームエンジンにも制裁を加える構えだ。これが現実のものになれば、ゲーム業界全体に多大な影響を与える可能性がある。

 『Epic Games Newsroom』Twitterアカウントは「8月14日にAppleから2週間後の8月28日にiOSやMacツールから遮断すると通達があり、Epic Gamesは、8月17日に米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に仮差し止め命令を申し立てた」と報告している。

あらゆる手段で制裁、いちかばちかのAppleの賭け?

 『The Verge』は「Appleが壊滅的な対応で脅す」という見出しを打った(参考:https://www.theverge.com/2020/8/17/21372480/apple-epic-threat-developer-tools-agreement-unreal-engine-fortnite)。

 Epic Gamesを完全に開発者プログラムから排除することは、すでに高くつきそうな賭けになっている争いが大幅にエスカレートしたことを意味するという。

 どれほどの損害をもたらすかは、計り知れない。Apple Arcadeサブスクリプション・サービス内の多くのゲームもUnreal Engineに依存しており、新たなiOSゲーム構築やアップデートが出来なくなるため、諸刃の剣だ。

 AppleはEpic Gamesの規約違反に対して、持ち併せているあらゆる手段を用いて制裁を加える覚悟のようだ。

猛烈な報復、プレイヤーのデバイスからも削除か

 『Gamespot』は「『Fortnite』排除後、AppleがUnreal Engineに猛烈に報復」と報じている(参考:https://www.gamespot.com/articles/after-fortnite-ban-epic-says-apple-has-retaliated-/1100-6481043/)。

 AppleがFortniteを既存のプレイヤーのデバイスから削除する可能性さえあると、Epic Games示唆している。

 Epic Gamesが提出した書類は、Unreal Engine自体が、App Storeのポリシーに違反していることをAppleが示していないと指摘している。

 Appleは、App StoreからのFortnite削除では、収まらずにそれ以上の処置をとっている。Epic Gamesは、Appleが開発者プログラムへのアクセスを遮断した場合「回復不可能な損害」を被ると主張している。

 Unreal Engineへの開発者の信頼への影響は、金銭的に修復できるものではとないと同メディアは指摘している。

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