「スマホゲーム」と「ソシャゲ」、2つの言葉の違いから考える“世界線の分岐”

2020年で終了するFlash スマホゲームやソシャゲに移行

 おまけとして、最後にFlashゲームの数値も比較に入れてみた。さすがに2000年代前半に一世を風靡しただけあって、Flashは強力な言葉であった。Googleトレンドがデータを公開している最初の2004年から2005年頃は、ちょうど「Flash黄金時代」と呼ばれていた時期のピークでもあった。

 2004年というと、mixiとGREEが誕生している年でもある(mobageは2006年)。一方でFacebookが2004年、Twitterが2006年に誕生したものの、ともに日本での展開を開始したのは2008年だった(また日本でもiPhoneが発売)。「ソーシャルゲーム」と「スマートフォンゲーム」の数値が伸び始めるのが2009年から2010年頃なので、これも時期が重なっている。

 下降を続ける「Flashゲーム」の数値に対し、2011年に「スマートフォンゲーム」が肉薄、2012年に「ソーシャルゲーム」が上回った。これまた、ちょうどモバイル版Flash Playerの開発が終了した時期と重なっている。

 もともとFlashはiOSに非対応だったが、2010年にスティーブ・ジョブズがiOSでFlashを認めない説明(Thoughts on Flash)をしたことを受け、Adobeはモバイル版Flash Playerの開発を終了。それに伴い、GoogleはGoogle Playからのダウンロードも終了した。

 Flashゲームというと、PCとガラケーでプレイした人が多いだろう(少々ややこしいのだが、モバイル版とは別にガラケー版としてFlash Liteもあった)。今はFlash Playerそのものがなくなったわけではなく、PC版が残っている。ただし今年2020年内で完全に終了する予定で、Flash形式のままのコンテンツは再生不能になる。

 ちなみに「Flashゲーム」と「フラッシュゲーム」を比較してみると、後者が前者の倍くらいの数値になる(ピーク時は3倍から4倍の差)。なお、カタカナでフラッシュと表記されている場合は“当時流行していたああいう感じのもの”といった曖昧な意味でしかないことが多いので、これもまた世界線が分岐した例と言えるかもしれない。

 いずれにせよモバイルでの対応が終了してから10年に迫ろうとしており、すでにFlash待受も懐かしいものになってしまった。現在はHTML5が主流だが、今後は何の技術であってもSNSでの共有が前提であるなら、「スマホゲーム」や「ソシャゲ」と呼ばれ続けるに違いない。さらに「ググる」ことのないSNS内だけの検索が、Googleトレンドのグラフに影響してくることも無視できない。

■真狩祐志
東京国際アニメフェア2010シンポジウム「個人発アニメーションの15年史/相互越境による新たな視点」(企画)、「平成30年史 激変!アニメーション環境」(著述)など。

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