虫眼鏡×ぶんけい 特別対談 親友二人が語り合う”似ている部分”と“真似できない部分”

虫眼鏡×ぶんけい 特別対談 親友二人が語り合う”似ている部分”と“真似できない部分”

 人気動画クリエイターグループ「東海オンエア」のブレーンとして、刺激的な企画でファンを楽しませ続けている虫眼鏡と、“<人の心をくすぐるものづくり>をする作家たちのアトリエ”=株式会社ハクシのCEOとして、映像を中心に、ハイクオリティな作品を世に送り出しているぶんけい。互いに優等生的なイメージもあり、しかし尖ったクリエイティビティやシニカルな目線を持っているという、アンビバレンツな魅力のあるクリエイターだ。

 以前から交流のある二人がこのほど、『真・東海オンエアの動画が6.4倍楽しくなる本 虫眼鏡の概要欄 ウェルカム令和編』(虫眼鏡)、『腹黒のジレンマ』(ぶんけい)と、同時期に書籍を発表。これを記念して、二人の対談が実現した。二人は互いが書き上げた“文章”をどう評価したのか。そして、自分たちの“似ている部分”と“真似できない部分”をどう捉えているのか。“本”というメディアへの思いからコロナ禍で考えたことまで、じっくり話を聞いた。(編集部)

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「ぼくは直情的で、ぶんけいさんは理論的」(虫眼鏡)

――まず、お互いの本を読んでの感想から聞かせてください。

虫眼鏡:今日の取材はふざけても許してくれるんですよね?(笑) こんなに文章が書けるんだったら、動画の概要欄、もっとちゃんと書けよ!って思いました。真面目に言うと、びっくりしたんですよ。忖度なく、本当にいい文章だと思ったので。ぼく、本や文章に関してはわりと好みがはっきりしているんですけど、「これはぼくの好きなタイプの文章だ」ってすぐに思って。

――虫眼鏡さんはお気に入りの作家の一人として工学博士でもある森博嗣氏を挙げていて、ロジックがしっかりした文章がお好きだというイメージがあります。

虫眼鏡:そうそう、エモいところもあるんですけど、理路整然としているんですよね。“理系っぽいぶんけい(文系)”というか。ぼくとぶんけいさんは似てなくはない性格の持ち主で、ただぼくはどちらかというと直情的で、ぶんけいさんは理論的なんだろうなと。この本を読むと「しっかり考えているからこういうことをするんだ」とか「逆にこの行動には実はこういう意図があったんだ」ということがわかる部分があって、ぼくがあまり考えずにやっていたことに対して、「ぶんけいさんだったらこういうふうに意味づけるんだろうな」というヒントになったというか。これまで無意識でやっていたことに、もっと意識を向けてみようかな、と思いました。普通に勉強になりましたね。


――ぶんけいさんはいかがでしょう?

ぶんけい:最初に訂正したいんですけど、「動画の概要欄、もっとちゃんと書け」って、概要欄はそもそも動画の関連情報や説明を書くところで、あんなにちゃんと文章を載せる場所じゃないですからねー!(笑)。その意味でも、本来は概要欄は動画の副産物なのに、それがメインになって書籍化するというのは本当にすごくて、これはざわくん(虫眼鏡)の努力の積み上げに他ならないし、それも3冊目ですからね。あらためて尊敬するなぁと思いました。

 実際に読んでいくと、「面白くなっていくぞ」というワクワク感があって読み進めるというより、面白さが“急にくる”んですよね(笑)。真剣に読んでいたのに、ノックせずにいきなり一文で覆されたり。そうやって感情をゆさぶれる感じが、すごく心地いい本だと思います。本当に、いろんなテクニックで楽しませてきますね。

――お二人は優等生的に見える部分もありながら、ぶんけいさんが“腹黒”と表現しているように、シニカルに見える部分も共通していると思います。文章を読んでいても、“自分の言葉がどう伝わるか”ということにとても自覚的で、ときに“波紋を広げることはわかっていてもあえて全力投球する”ような部分も似ていると思いました。お互いの共通点、また“自分にはない”と思う部分についても聞かせてください。

ぶんけい:おっしゃるように基本的なところはとても似ていると思っていて、ざわくんがさっき言っていたのは、「人類を3つに分類したら、ぼくらは同じところに入るよね」と(笑)。外からの見え方、イメージもそうですし、たまに二人でご飯に行くと、いろいろ議論したり、どうでもいい話をしたりするなかで、考え方に共感するところも多いです。

 違うと思うのは、ざわくんの方がぼくより、自分の考え方を尊重している気がします。あまり意見を曲げないというか、それだけの理由が自分のなかにあって、人の考え方に左右されないというか。ぼくは人に何か言われたときに、「ああ、確かに」って納得したり、揺れてしまうところもあるんですけど、ざわくんはあんまりそういうことがないんじゃないかなって。無自覚的な理論派だと思っています。

――なるほど。お二人を比較したときに、どちらかというとぶんけいさんの方が柔らかいイメージで、虫眼鏡さんの方が鋭いイメージがあるのは、そのことも影響しているかもしれないですね。虫眼鏡さんはどうですか?

虫眼鏡:本のなかで、ぶんけいさんは「なんで?」という言葉をよく使うと書いていて、ぼくもよく使うんですよ。そこが似ている部分だと思うんですけど、ぶんけいさんの場合は、まず「知りたい」という好奇心があって、相手に寄り添っていくような「なんで?」だと思うんですよね。でも、ぼくは威圧的に使うんですよ。「は? なんで?」って(笑)。

 ぶんけいさんもぼくも、人に「性格が悪い」と言われてもなんとも思わないし、嫌われることを厭わないタイプだと思うんですけど、そのなかでも、ぶんけいさんは「人が好き」ということが根っこにあるというか。ぼくはそうじゃないし、「優しい」と言われたことも一回もないので、この本を読んで反省しました。

ぶんけい:いやいやいや(笑)。ぼくは「自分はそこまで貫けないな」と思うし、ざわくんはぼくだったら怯んで言えないようなこともガンガン言っているので、そのスタイルで活動を続けているのがスゴいし、カッコいいなと思います。それでこれだけファンがいるんですからね。

――動画、映像という分野だけでなく、いまはさまざまな方法で表現をしているお二人ですが、そのなかで「本」というのはどんな場だと思いますか?

ぶんけい:今回の本を制作するなかで、いろいろな可能性を感じましたね。表現の幅に制限がないというか。ぼくは主に映像を仕事にしているので、例えば「遊園地」というシチュエーションで撮りたかったら、実際に遊園地に行くか、合成をするしかない。でも、文章であれば「遊園地」という表記があるだけで成立し、宇宙にだって簡単に行くことができますよね。もっとそういう表現を意識して、読む人に情景を想像させるような言葉を使えたらよかったなって。いま、小説を書いてみたいと思っていて、そういうチャレンジをどんどんしていきたいですね。

虫眼鏡:わかりやすいところでいうと、本というメディアがこれまで積み上げてきた歴史のありがたさ、重さというものがあるなって。例えば書店って、駅前のすごいいい場所にありますよね。流通網もすごい整備されているし、人間がこれまで積み上げてきた、一番歴史のあるメディアで、そこにはいろんなタイプの人がくるし、僕らがこれまでの活動ではリーチできなかった、いろんな人に届くという意味で、書店に置かれるだけでありがたいなと思います。

 また文章という表現は、映像や音声に比べて、“受け手”のリテラシーに依存する部分が大きいですよね。だからこそ、発信する側は“どう受け取られるか”を考えて表現しなければいけないし、誤解されないようにわかりやすく書くのか、それとも、人によっていろんな受け取り方ができるように引き算で構築するのか、意識的に使い分けなければいけないというか。それが本というメディアの奥深いところでもあり、まだまだ修行したいところでもあると、常々思っています。

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