2020.06.26 12:00

虫眼鏡×ぶんけい特別対談　親友二人が語り合う”似ている部分”と“真似できない部分”

文・取材＝橋川良寛、写真＝竹内洋平

「表現の手法を常に複数持っていたい」（ぶんけい）

――今般のコロナ禍は、お二人の表現活動にも少なからず影響を与えたと思います。外出自粛が続くなかで考えたことについても聞かせてください。

ぶんけい：ずっと考えてきたことがより強固になった部分があります。何かひとつのことに縛られていると、こういうときに困るな、ということを感じる機会が多くて。ぼくらのような仕事だったら、表現の手法を常に複数持っていて、常にフレキシブルに活動をしていることが、いまの状況では強みになっていて。そうすると、例えば3つの仕事をしていて、3つともダメになっても、4つめを作れる人になると思うんです。柔軟性のある人でありたいな、とあらためて強く思いました。

――本のなかにも「カテゴライズされること」についての記述がありましたが、やはり様々な分野を横断する「クリエイター」でありたい、という思いがより深まったと。虫眼鏡さんはいかがでしょうか？

虫眼鏡：よく「いつも元気をもらってます」とか、「大変だけれど、東海オンエアの動画を楽しみに生きてます」みたいなコメントを見て、「嘘つくなよ～」って思ってたんです。ぼくらはみんなを応援するような動画を上げているわけではないし、むしろ観ても何の役にも立たないバカな動画ばかりだから。でも、今回のコロナ禍で、実際に自分自身が楽しみにしていたいろんなものがなくなってしまったときに、「本当だったんだ！」と思ったんです。“元気”って曖昧な言葉だけれど、本当になくなるものなんだなって。

　そういうことを肌で感じて、実はぼくらが普段やっている活動って、もしかしたら意外と人に元気を与えられていたのかもなと、いまさらながら気づいたんですよね。これからは「いや、くだらない動画を上げているだけで……」と、変に卑下することなく、もうちょっと、「ぼくらはみんなに元気を与える動画を作っているんだ」ということを意識しなければいけないという、使命感が出たというか。コンサートもイベントも中止になって、エンタメ業界全体が大きな打撃を受けているなかで、たまたま僕たちはほぼ無傷でやれる状態だったので、「じゃあ、いま俺たちが頑張るしかなくね？」と思えるようになったのが、ぼくにとっては成長だったかなと思っています。

ぶんけい：最初に「ふざける」って言ってたのに、誰より真面目（笑）。

虫眼鏡：いや、全部ウソかもしれないですよ（笑）。

――（笑）。最後に、今回の一冊をどんな風に読んでもらいたいですか？

ぶんけい：この本には、こういうふうに生きるべきだとか、こうしたほうがいいということは書いていなくて、それはぼくも答えにたどり着けていないからです。たぶん、ぼくは一生たどり着けないままだと思うんですけど、それを言い訳にしてはいけないなと思ったので、できるだけ自分の経験を全部詰め込むことで、きっかけにはなろうと努力して書きました。全部に共感してもらえるとは思いませんし、全部が考えるきかっけになるとは思いません。でも、どんな人にも、どこかに刺さる部分があると思って書いたので、困っている人とか、困っているかどうかもわからない状態の人とか、何かやりたいけれど勇気がなかったり、自信がなかったりする人、足が止まってしまっているという人に届くとうれしいなと思います。

虫眼鏡：ぼくの本を読むと頭がわるくなるので、読まない方がいいです。ありがとうございました。

ぶんけい：今度はぼくだけめっちゃ真面目で恥ずかしいやん！（笑）