『あつまれ どうぶつの森』でホラーを再現する人続出 社会情勢とも関係が?

『あつ森』なぜホラー映画の再現続出?

 外出自粛が叫ばれる中、どのようにお過ごしでしょうか。私はNintendo Switch流行の波に完全に乗り遅れて、コンソールの「売り切れ」表示を虚しく見つめる日々が続いています。しかし、そんな私を完全に置いてきぼりにして、世間ではいち早くNintendo Switchの『あつまれ どうぶつの森』を手に入れた人たちが、ロックダウンのストレスを払い除けるようにバーチャルな世界を満喫中のようです。でも、今の世界的状況を反映しているからなのか、『あつまれ どうぶつの森』のコンセプトとは真逆をいく遊び方が密かに流行っているらしいのです。

『あつまれ どうぶつの森』新機能「カメラ」

 Switchの『あつ森』には、カメラ機能が搭載されています。ゲーム内で撮影できる機能で、ズームイン/アウト、目線の変更、フィルターなんかがついています。ホラー映画のシーン再現には、このカメラ機能が使われているわけ。

 Polygonは、2019年に公開されたモノクロホラー映画『The Lighthouse』の、海辺に打ち上げられたかもめの死体シーンを再現するのが流行っていると伝えています。

 

 友達を招待して、ふたりシーンを再現する猛者も。

 『The Lighthouse』に限らず、家の中を血みどろにしてみたり、『ツインピークス』の赤いカーテンの部屋を再現してみたり、思い思いの楽しみ方をしているみたい。

なぜホラー映画を再現?

 それにしても、なぜホラー映画の再現なのでしょう? 『どうぶつの森』シリーズといえば、プレイヤーがどうぶつたちの暮らす森に住んで交流するという超ほのぼのゲームです。癒しを求めてプレイするかと思いきや、なぜ敢えて対極のジャンルに走るのでしょうか? もしかすると、今現在私たちを恐怖のどん底に陥れているCOVID-19感染蔓延が関係しているかもしれません。

ホラー映画と社会情勢の関係

 ホラー作品は常に作られています。映画に特化していえば、ホラー映画はストーリーの進め方のセオリーが存在する製作初心者向きなジャンルであること、また製作費を比較的抑えられるために不景気でも作りやすいのが主な理由です。しかし、ホラー映画の量産と大ヒットは、不景気や恐慌と関係しているらしいのです。

 例えば、『怪人ドラキュラ』『フランケンシュタイン』『ミイラ再生』といったユニバーサルのモンスター映画は、30年代の米国大恐慌時代の真っ只中に登場しました。また、スラッシャーホラーの金字塔といわれる『悪魔のいけにえ』と、これまた呪いの家ホラーの金字塔『悪魔の棲む家』は共に1974年の景気後退時にリリースされています。スラッシャーホラー全盛期の80年代、アメリカの経済パフォーマンスは悪化していました。経済の成長率は低下し、失業者も増えました。そんな中、『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』『ハロウィン』といった作品が人気を博していました。

 この経済悪化とホラー映画の関係は、自分が置かれている状況よりもひどい目に合っている人の姿を見て心を落ち着けたいという心理からきていると考える研究者も少なくありません。実際、筆者はその傾向があり、ストレスに晒されれば晒されるほど残虐なホラー映画をエンドレスで鑑賞します。とはいえ、生粋のホラー好きでもあるので、調子がいい時でも生活に刺激を求めてホラー映画を見るのですが……。

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