Facebook四半期決算で明らかになった前年比26%増収 語られる「Oculus Quest」の可能性
アメリカ現地時間の1月29日、Facebookは2019年第4四半期の決算報告会を行なった。同社経営陣は財務上の数値だけではなく、各事業に対する見解も明らかにしており、同社が昨年リリースした“あの製品”に未来を見ていることがわかってきた。
クリスマスに「外れ値」を記録
Facebookの2019年第4四半期決算報告に合わせて、同社会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は29日、自身のFacebookに同社の決算と今後の展望に関して投稿した。その投稿のなかでは、同社のVR/AR事業に言及した箇所がある。同氏はこの事業を「ソーシャル体験における聖杯」と表現し、その重要性を強調している。
VR事業の決算内容に関しては、昨年のクリスマスに同社が運営するVRコンテンツストアOculus Storeにおいて、ほぼ500万ドル(約5億4,000万円)のコンテンツが購入された、とのこと。この数値は、同ストアの1日の売上としては異例とも言える「外れ値」であった。
2019年第4四半期には、昨年リリースされたスタンドアロン型VRヘッドセットOculus Questがハンドトラッキングをサポートした(下の動画参照)。このことについて、ザッカーバーグ氏は「Oculus Questで実現できるとは誰も思っていなかった」と述べ、大きな前進であったという見解を逆説的に表現している。
AR事業に関しては長期的なハードウェアとOSの開発に取り組んでいると述べ、ARグラス開発の継続を示唆した。さらにカメラエフェクトを自作できる開発環境「Spark AR」は世界でもっとも広く使われているARプラットフォームであり、毎月何億人ものユーザがエフェクトを作っていると語り、AR市場におけるFacebookの動向を伝えた。
26%増の「その他」カテゴリーの収益源
以上の決算報告会におけるザッカーバーグ氏以外の幹部については、VRニュース専門メディア『Upload VR』が30日、同社の最高財務責任者であるDavid Wehner氏の発言を報じた記事を公開した。
同氏によると2019年第4四半期における同社の「その他の売上」カテゴリーは前年比26%増の3億4,600万ドル(約50億円)であり、このカテゴリーの収益源は『Oculus Quest』の販売によるものであった。もっとも、同社の売上の98%近くを占めるのはFacebookに表示するターゲット広告から得られる広告収入であり、「その他の売上」カテゴリー自体は同社の売上のほんのわずかを占めているに過ぎない。しかし、そんなわずかな収益源についてCFOが言及したこと自体、同社が『Oculus Quest』を決して軽視していないことを物語っている。
『Upload VR』の記事は、Wehner氏の『Oculus Quest』に関する発言を2018年にリリースされた廉価なスタンドアロン型VRヘッドセット『Oculus Go』のそれと比較している。2018年第4四半期の決算報告会では、『Oculus Go』が同社の成長に「貢献」している、と述べていた。対して今回の決算報告会では、『Oculus Quest』は同社の成長を「駆動」していると表現している。この表現から、『Oculus Quest』の販売は『Oculus Go』のそれより好調なことがうかがえる。
同メディアの記事は、『Oculus Go』ではマーケティングにコストがかさんだと報告されたのに対し、『Oculus Quest』ではマーケティングのコストに関して特に言及がなかった、とも伝えている。