『スター・ウォーズ』×『フォートナイト』で考える、“コンテンツの話題作り”の未来
しかしながら、これらのコラボはスキンやアイテム、エモートが手に入る期間限定のイベントや、アイテムを使ったゲームプレイに終始してきた。こうした中、スターウォーズとのコラボは映像を生配信するというヴァーチャル・ライブイベントと、アイテムを軸としたゲームプレイの2軸で構成されるだけに、その規模も注目度合いもはるかに大きい。そして、効果を考えただけでも、イベントからの話題作りや、ファンの盛り上がりだけでなく、ゲーマーという新しい世代と活動領域にスター・ウォーズ・ブランドが入っていくという文化交流的な効果も期待できるだろう。
一見、人気ゲームとのコラボと単純に思われがちだが、徹底した秘密主義で知られるルーカスフィルムとディズニーにすればリスクでもある。
とりわけ海外の映画産業は、映像作品が事前にリークされたり、作品がネットやSNSに流出する海賊行為に断固とした態度で対策を講じており、ファンイベントやCMを除けば公開前の映像をネット上で解禁することは非常に珍しい。それだけに、『フォートナイト』コラボはディズニーにとっても新たなチャレンジでもある。
人気映画やTV番組の話題作りは、予告映像の再生数や、大手メディアによるインタビュー動画の本数だけでは測れない時代になった。ファンによるリアクション動画や解説動画などUGCコンテンツが数多く作られ投稿されるという一連のファン行動が話題作りとPRに貢献していることを、映画スタジオだけでなく、マーケティングを担当する会社も、プラットフォーム側も理解しており、ポジティブな行動として捉えている。
ちなみにディズニーは、SNSやウェブサイト、プラットフォーム上で自社のコンテンツがどのように利用され拡散されるかを自動で検知するテクノロジーを稼働させており、バーチャルイベントの開催や、ファンによるUGCコンテンツ生成を安心かつ促進させるだけでなく、海賊行為対策としても機能する。テクノロジーやプラットフォームでの行動を理解し、活用することも、映画産業には欠かせないものとなっている。
■ジェイ・コウガミ(デジタル音楽ジャーナリスト、All Digital Music)
デジタル音楽ジャーナリスト。音楽ブログ「All Digital Music」編集長。「世界のデジタル音楽」をテーマに、日本のメディアでは紹介されないサービスやテクノロジー、ビジネス、最新トレンドを幅広く分析し紹介する。オンラインメディアや経済誌での寄稿のほか、テレビ、ラジオなどで活動する。
Twitter
Facebook