5G到来で2020年の「渋谷ハロウィン」はどう変わる? 宇川直宏、CEKAI井口皓太、Naohiro Yakoらが論じる
11月7日、東京・渋谷で『渋谷5Gエンタメテック会議』が開催され、映像アーティストの宇川直宏氏、KDDI株式会社ビジネスアグリゲーション本部アグリゲーション推進部部長の繁田光平氏、クリエイター集団・CEKAIの井口皓太氏、メディアデザインプロダクション・flapper3のNaohiro Yako氏が、“最新テクノロジーによって渋谷の街がどのように変わるか”といったテーマについて論じ合った。
はじめに前提知識として、5Gの概念を、本イベントでKDDIの繁田氏が行った説明と共に紹介していく。ご存じの方は飛ばし読みしていただいて構わない。5Gとは「5Generation」の略で、1G、2G、3G、4Gに続く、無線通信システムのこと指す。私たちを取り巻くネット・通信環境はこれまでの4つのGeneration(世代)ごとで、目覚ましい進歩を遂げてきた。
まずは1Gだが、こちらはインターネット・携帯電話黎明期のこと。続く2Gは、待ち受け画面や着メロをダウンロードして、自分流の携帯電話がカスタムできるようになったことで、「パーソナルデバイス」の概念が産声を上げたあたり。3Gは2000年代初頭で、この頃から携帯の高速化通信が可能になり、写メ―ルやネット掲示板、簡易的な動画が手軽に楽しめるようになった。
現在の4Gは、スマホ全盛の時代。繁田氏は、この4Gについて「ここで携帯電話がインターネットデバイスそのものになった」と言い、「今までは“なんちゃってインターネット”で用意された箱庭で遊ぶイメージだったところから、泳げばどこへでも到達するデバイスが手に入った」と表現した。そして、2020年より始まるとされている5Gだが、繁田氏によると「高速大容量」「同時接続の数が飛躍的に伸びる」「一瞬の遅延すらもなくなる」と、大きく3つの特徴を挙げることができるという。
では、具体的に5Gで何ができるようになるのだろうか。井口氏が「いずれ皮膚感覚の情報を飛ばせるようになれば、医者がいない小さい村でも、1体ロボットがいれば遠隔操作で手術ができるのではないか」と説くと、繁田氏は、KDDIがロボットベンチャーのTelexistence(テレイグジスタンス)、大手旅行会社JTBらと連携して開発した頭にVRゴーグル、指には触覚センサーをつけて遠隔旅行を楽しめるサービスを例にとり、「そういった技術が、なにか医療に役立つかもしれないですね」と私見を述べた。
さらに、繁田氏は「(5Gでは)『時』と『空』を超えていくことをやっていかなければならない」とも。「簡単なのは距離を超えること。それだけでなく、未来の方向に加えて、過去の方向にも飛べると考えています」と明かした。井口氏が「伝説のライブみたいなことも体験できるようになるということですね」と言うと、宇川は「だから『ボヘミアン・ラプソディ』って、あの時のクイーンの伝説のライブを再現しようとして映画化したわけじゃないですか。そこには、フレディ・マーキュリーのそっくりさんとか当時の環境と当時の現場で鳴っていた音がテクノロジーで具現化していったんだけど、そうじゃなくて、ドキュメンタリーとしてあれを具現化できるってことですよね」と述べ「これってすごくない?」とオーディエンスへ訴えた。
そういった話を受けてYako氏は「同時接続ができる体験という意味で、一番渋谷に合っているのは、問題にもなりがちなんですけど、ハロウィンだと思うんですよ」と発言。昨年のハロウィン時、鹿児島へ出張に行っていたというYako氏は、交差点で仮装をしながら「ヤバい! ちょっと渋谷っぽい!」と騒いでいる若者数名を目撃したらしく、「でも5Gがあれば、全員どの世界にいても、渋谷のスクランブル交差点に集合するっていう体験ができるんですよ」と力説した。