ファーウェイ、北朝鮮を秘密裏に支援していた疑惑が浮上 イランにも支援か?
昨年12月にCFOがカナダで逮捕されて以来、アメリカにおいて制裁対象となっている中国通信機器大手ファーウェイに新たな疑惑が浮上した。同社が経済制裁を受けているあの国を支援していたというのだ。疑惑はさらに軍事的緊張の高まっているあの中東の国にも波及しそうだ。
コードネームは「A9」
『ワシントンポスト』紙は22日、ファーウェイが北朝鮮の通信インフラ構築に8年前から協力していたと報じた。この報道は、元同社従業員が「公共の利益になる情報」と考えたうえで匿名を条件に提供したものだ。匿名なのは、同社からの報復を恐れてのことだという。
提供された資料によると、2008年頃、北朝鮮は自国の通信インフラを構築するために通信会社Koryolinkを設立。その後、同社はファーウェイと中国の国営企業Panda Internationalと提携し、通信インフラ構築に必要な機器を調達したとされる。通信機器提供に際してファーウェイが作成したデータベースには取引国がコードネームで記されており、北朝鮮は「A9」であった。
以上の告発において問題なのは、ファーウェイが北朝鮮企業に提供した通信機器にはアメリカで製造された部品が含まれている点である。つまりファーウェイの機器提供により、アメリカが北朝鮮に対して輸出規制の対象としている製品が流入している可能性があるのだ。
なお、ファーウェイは北朝鮮において「ビジネス上のプレゼンスは有していない」という声明を発表し、告発の内容を否定している。
イランも支援か?
『ワシントンポスト』紙が報じたファーウェイ北朝鮮支援疑惑は、アメリカ大手メディア『CNBC』も報じている。『CNBC』の報道では、ファーウェイをめぐる最近のアメリカ国内の動向に言及している。ファーウェイはアメリカにおける商取引を規制されていたのだが、最近になってその規制を緩和しようとする動きがあった。そして、22日にはIntel、Qualcomm、そしてGoogleといった大手テック系企業がホワイトハウスでファーウェイとの取引再開に向けて会合を開いていたのだ。しかし、新たな疑惑が浮上したことにより、規制緩和の動きは立ち消えるかも知れない。
US版『Forbes』の記事では、シンクタンクHJSのシニアアソシエイトフェローであるJohn Hemmings氏のファーウェイとイランの関係についてのコメントが引用されている。同氏によると、ファーウェイは取引があるすべての地域において従うべき法律が定める一線をしばしば超えており、そうした地域には現在アメリカの制裁対象国となっているイランも含まれる、とのこと。それゆえ、ファーウェイとイランの間にあると思われる疑惑もアメリカ司法省の調査によって近く明らかになることは疑い得ない、とも語った。
ちなみに、『ワシントンポスト』紙が暴露した前出のファーウェイのデータベースにおいては、北朝鮮のほかにイランやシリアという国名もコードネームで表記されていた。