世界で起こる“ファーウェイ排除”の潮流、中国での反応は? 現地の声をレポート

 中国の通信機器大手である「HUAWEI(ファーウェイ/華為技術)」が世界で注目を集めている。アメリカのHUAWEIを排除する動きに高い関心がよせられているが、過熱していく海外報道とは別に、中国国内での反応はどうなのか、気になるところだ。政府見解はさておき、本稿では関連企業や消費者はこのHUAWEI問題をどう感じているのか、探っていきたい。

 まず、その前に少し、中国のスマートフォン事情について紹介する。中国では、特に大都市を中心にキャッシュレス化や無人化がすすみ、何をするにも、買うにも、またサービスを受けるときもスマートフォンのアプリを利用する。現金を見る、触る機会がほとんどなく、スマートフォンは今や若者にしても“命の次に大事なスマホ”と冗談が出るくらい、生活になくてはならない、マストアイテムになっている。

ショッピングモール内にオープンするHUAWEI

 ここ数年でスマートフォンは急速に普及しているが、中国のいわゆる“スマホ社会”への発展過程で、当初、アップル人気が高く、「iPhone」ブームが巻き起こった。新製品が出ると聞けば、早くから行列ができ、海外まで行き競って入手するなど、異常とも思える若者たちの行動も当時、大きな話題となった。

 こうした話題性もふくめ、“アップル強し”と思われていた中国のスマートフォン市場でいつのころからか、台頭してきたのが、HUAWEI、OPPO(オッポ) 、Vivo(ビボ)やXiaomi(シャオミ)といった中国国内ブランドのスマートフォンだ。とくに、HUAWEIはすでに出荷ベースで世界第二位のスマートフォンメーカーにまで成長している。

上海の繁華街周辺でイベントを開催

 一部のアップルフリークや海外ブランド志向の強い富裕層をのぞき、若者の間で“アップルブランド”に以前のような執着をもたなくなり、現在では価格、性能や機能のメリットから購入を判断する傾向が強くなった。そこには、必ずしも海外ブランドの商品のほうが優れているとは言えないという概念が浸透しているように思えた。

熱心に聞き入るイベント来場者

 もちろん、こうした国産ブランドの急速な発展を支えているのは、商品自体の質的向上だとか、消費者ニーズを満足させる革新的な技術の開発など、さまざまな魅力的要素であることは否めない。それに、そこにも中国現地で消費者の好みをより理解している国産メーカーの強みもうかがえる。

商品を手にして丁寧に機能を確認する消費者

 さらに言えば、スマートフォンに限ったことではないが、「メイド•イン•チャイナ」の商品を支持し、国産ブランドに期待して支援する中国政府の思惑が動いているとも言われる。

 こうした中、今回のHUAWEI問題を見てみると、海外で「HUAWEI=愛国」というような図式や話題が出ることも決して不思議なことではない。現に、アメリカ政府の採ったHUAWEIへの措置に対して、中国国内でも大きな反響があり、最初に報道されたときには、SNSなどにも「アップル不買運動」や「iPhoneからHUAWEIに乗り換える」などをはじめ、やや過激であついコメントが多かった。

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