ファミ通“平成のゲーム 最高の1本”に選ばれた『クロノトリガー』の魅力を徹底解説
週刊ファミ通2019年5月16日増刊号の平成振り返り特集にて、読者へのアンケートの結果、“平成のゲーム 最高の1本”は『クロノトリガー』となった。
この記事では本作の概要を紹介すると共に、なぜ『クロノトリガー』が平成最高のゲームに選ばれたのか、その理由を考察したい。
『ドラクエ』と『FF』の融合、ドリームプロジェクト
1995年3月11日にスーパーファミコンでスクウェアから発売された『クロノトリガー』は、一言で表現するならば“ドラクエとFFを融合させたRPG”だ。
実際のところ本作の開発には『ドラゴンクエスト』シリーズからは堀井雄二氏(初期プロット)と鳥山明氏(キャラクターデザイン)が、『ファイナルファンタジー』シリーズからは坂口博信氏(エグゼクティブプロデューサー)が関わっている。
RPGの二大巨頭の制作メンバーが携わった『クロノトリガー』は、発売前から“ドリームプロジェクト”として打ち出されていた。
そして鳴り物入りで発売された夢のRPGは、その名に恥じぬ歴史的名作だった。
あらゆる点がハイクオリティ
スーパーファミコン独特の美しくも味のあるドットアートに、タイムトラベルを主軸としたわかりやすくも濃密なストーリー、クリアしても何度でも遊べるゲームバランス。そして忘れられない音楽。
『クロノトリガー』はどこをとっても素晴らしい、まさにウェルメイドという言葉の似合う作品だった。
主人公に感情移入できる『ドラクエ』と、映画のように重厚な物語を味わえる『FF』とのいいとこ取りをした『クロノトリガー』は95年の発売以来、PSやDSなどで幾度もリメイクされ、長く愛される名作となった。
本作にはゲームクリア後にレベルや所持アイテムを引き継いで2周目に突入できる「つよくてニューゲーム」というシステムも導入されており、ハマったプレイヤーはとことんまで作品をしゃぶりつくせるようになっていたのもプレイヤーの思い出に残った要員のひとつではないだろうか。
鳥山明デザインのキャラを存分に味わえるRPG
『ドラゴンクエスト』シリーズは、『ドラゴンボール』でお馴染みの漫画家・鳥山明氏がキャラクターデザインを担当しているのは周知の事実。
だが残念なことに『ドラクエ』では勇者および仲間キャラクターはデフォルメされた2頭身程度のサイズでしか登場しないため、鳥山明氏の描くキャラの魅力はほとんどパッケージとモンスターのデザインでしか味わえなかった。
そして、『クロノトリガー』は『ドラクエ』の“味方キャラが簡易的にしか描かれないという”欠点を見事に補ってみせた。
『クロノトリガー』はスーパーファミコンのマシンスペックを最大限に生かし、フィールドでも戦闘中でも操作キャラクターが常に3頭身ほどのサイズで描写される。2頭身から3頭身への進化は大きな変化で、本作のドット絵のキャラクターからは『ドラクエ』のキャラにはない鳥山明らしさが見て取れる。
ハードの表現力が上がったためか、味方キャラもロボットに原始人果てはカエルと個性派揃い。パーティーメンバー全員が魅力的で誰をパーティに組み込むか、いつも決められない。
戦闘中の視点がドラクエ型の一人称ではなく、トップビュー方式なのも相まって『クロノトリガー』は、鳥山明氏の世界観に心ゆくまで浸れる作品になっている。