仙台を拠点に日本の魅力発信 英国人YouTuberクリス・ブロードが語る“ガイドブックにない日本”

英国人YouTuberから見た「日本」

「日本人」というテーマで映像を残したい

ーードキュメンタリー的な映像もそうですが、「日本での12つのしてはダメな事!」(12 Things NOT to do in Japan)という動画が1000万再生を超える大ブレイクを果たしました。「歩きながら飲食してはいけない」「チップを払ってはいけない」「自分を主張しすぎてはいけない」「明らかに車がいなくても赤信号で渡ってはいけない」など、外国人はもちろん、日本人にも新鮮に届く内容です。日本に来て、クリスさんが特に印象的だったことをあらためて聞かせてください。

日本での12つのしてはダメな事!

クリス:本音と建前にギャップがあるところは不思議だと思いましたね。イギリスでは、自分の意見が言えなかったり、ためらったりということがあまりないので。ですから、日本に来て1〜2年、英語の先生をしていた時代は、「この人が本当に伝えたいことはなんだろう」と読み取るのが大変でした。例えば、半袖のシャツを着ていて「寒そうだね」と言われたとき、遠回しに「長袖を着たほうがいいよ」と言ってくれているのだ、ということが最初はわからなくて。なぜ直接的に言わないのか、と不思議に思いましたが、ポジティブに考えると、自分の発言に気をつけて、調和を保つ文化ですよね。イギリスやアメリカだと、言い合いのケンカをよく見かけますが、日本では見たことがありませんから。一方で、コミュニケーションに時間がかかるので、効率的に物事を進める上ではマイナスになっているかもしれません。もっと早くいろんなことができるんじゃないか、と思うこともあります。

ーー日本に限らずどの国もそうですが、旅行者として訪れる場合と、実際に住む場合には、印象はだいぶ異なると思います。その点はいかがでしょう?

クリス:そうですね。2週間の旅行であれば、日本はちょっとクレイジーで、おかしな国に思えるでしょう。例えば、「ラブホテル」という文化はイギリスにはありませんから、とても不思議だったり。でも、実際に日本に住んでみると、特に都市部は家が小さく、プライバシーを保つのが難しいとか、そういう背景があることが見えてくる。カプセルホテルも、旅行者は「なんでこんなに狭いところで寝るんだろう?」という興味を持ちますが、しばらく過ごせば、スペースがない日本で、効率よく人が宿泊するための施設なんだとわかります。また、「すみません」という言葉が多く聞かれることに、旅行者は「日本人は丁寧すぎる」「何に謝っているんだ」と驚きますが、偉そうにすることを美徳とせず、「へりくだる」という文化がわかってくれば、自然に思えてきますね。クレイジーに見えることにも、一つひとつ背景があるということがわかるので、そういうことも伝えています。

ーーまたクリスさんと言えば、Tokyo Creativeのクリエイターメンバーと旅した自転車での日本縦断企画が大きな話題になりました。特に印象に残っているエピソードを教えてください。

クリス:美しい風景という意味では、瀬戸内海を臨むしまなみ海道、阿蘇山が見える大観峰展望所が素晴らしかったですね。岡山で道に迷ったとき、お店に入ると4人の女性がいて、柿をたくさんくれたのも記憶に残っています。

 それと、今回は自転車で陸路をまわることで、街と街の間ーー広く知られていない「なんでもない道」を通ったのですが、そういうところがきれいでしたね。「目的地」よりも「過程」というか、名も知らぬ場所でいろいろな経験をすることができたのが、とてもおもしろかったです。だから「ここがよかった!」と言いづらいんです。

ーーガイドブックではわからないところですね。

クリス:そうですね。新しい発見ばかりでした。

Why I Don't Speak Japanese in Videos

ーー詳しくは動画を見てもらいたいと思います。最後に、クリスさんの今後の目標についても聞かせてください。

クリス:YouTuberとしての目標とは離れるかもしれませんが、フィルムメーカーとして、自分が見てきた素晴らしい日本の姿をもっと掘り下げた映像で、コンペティションに参加するなど、挑戦していきたいと思います。また、これまでの動画では、食に関するスポットなど、場所についてはカバーしてこられたのですが、「人」にフォーカスしたものを作ったことがあまりなかったので、「日本人」というテーマでも映像を残せればと考えています。これまでに出会うことがなかった人とも出会いながら、日本のいいところを海外に知ってもらうためのドキュメンタリーを作っていきたいですね。

(取材・文=橋川良寛)

■Tokyo Creativeについて

 クリス・ブロード氏も参画する「Tokyo Creative」は、日本最大級の総フォロワー数1300万超えの在日外国人トップインフルエンサー、クリエイター、エンターテイナーが集結したコミュニティ。「Uncovering Japan to the World -日本人も知らない「Nippon」を世界の片隅まで!-」をテーマに、知られざる日本の側面を海外に向けて発信している。
 事業の一つとして、日本のさまざまな地域や企業と連携し、外国人目線で観光コンテンツを開発、情報発信&プロモーションまで、細やかにインバウンドへの対応を行なう。日本に関するあらゆる情報を取り扱い外国人目線で「日本」を説明したチュートリアルとしても機能することを目的としたコミュニティ型オンラインサロン「Tokyo Creative LEARN」も展開している。

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