アイドル育成ゲーム『Readyyy!』がユーザーの心を掴む理由は? MV、SHOWROOMなどから解説
セガゲームスの制作・総指揮による女性向けアイドル育成ゲームアプリ『Readyyy!』が、2019年2月1日より配信を開始した。TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪』(TOKYO MX)シリーズで知られる森光恵がキャラクターデザインを担当(キャラクター原案はイラストレーターのえびら)、アニメーション制作会社のProduction I.Gがキャラクター制作を担当するなど、豪華スタッフ陣が参加していることでサービス開始前から注目を集めていた本作。同様のジャンルのゲームとしては、『あんさんぶるスターズ!』『A3!』『アイドルマスター SideM』『アイドリッシュセブン』『DREAM!ing』などがすでに人気を確立しているなか、『Readyyy!』も後続作品ながら着実に支持を伸ばしている。本稿では同コンテンツがユーザーの心を掴んでいる、その理由を紐解いていきたい。
ゲームの舞台となるのは、全てのアイドルがランキング化される時代。主人公(プレイヤー)は新たにアイドル業界参入を決めた芸能事務所『ディア・プロダクション』の新人プロデューサーとして、18人の高校生たちによる5つのユニットをデビューさせ、アイドルランキングの頂点である「ゴールドステージ」を制することが目的となる。ゲームは基本的に、18人の物語を描くフルボイスのADVパート「日常」、各キャラクターの能力を成長させる育成パート「レッスン」、育てたメンバーにアイドル活動をさせるミニゲームパート「ワーク」の3ステップで構成。これらを繰り返すことでストーリーが進行していくほか、各キャラクターの一幕を切り取った「メモリーズフォト」を獲得・育成することで、それぞれのフォトに沿った内容のエピソードも読むことができる。
セガゲームス発の女性向けゲームといえば、ランティスとの共同制作によるミュージカルリズムゲーム『夢色キャスト』(2019年1月にサービス終了)が思い出されるが、そちらは恋愛要素を含んだ、いわゆる「乙女ゲーム」と呼ばれるジャンルに分類される内容だった。だが、『Readyyy!』ではプレイヤーである主人公に性別を設けておらず、18人の少年たちを純粋にアイドルとして育成し、その成長や彼らとの交流を楽しむことに主眼が置かれている。そのため、女性向けとはいえ男女問わず楽しむことのできるシナリオになっているし、青春真っ盛りの高校生である彼らが、ときに悩みながらも、アイドルの夢に向かって一歩一歩進んでいくその姿は、おそらく誰の目にも輝いて映ることだろう。
そのように、18人のアイドルとしての成長物語がコンテンツの中心に据えられているため、ゲームを楽しむにあたって何より重要となるのは、そのキャラクター自体を魅力的に感じられるか、ということ。そこで本作では、ユーザーがよりキャラクターの存在を肌で感じられるような仕掛けを多く試みている。まず、その最たるものとして挙げられるのが、ストリーミングサービスのSHOWROOMを活用したキャラクターの生配信番組だ。これは『Readyyy!』に登場するアイドルたちが実際にキャラクターとして生配信を行うもの。2018年12月10日に行われた「摩天ロケット 藤原蒼志のSHOWROOM」を皮切りに、これまで8人のアイドルがSHOWROOMに登場している。もちろん各キャラクターの担当声優が演じながら番組を進行するのだが、キャストは完全に役に徹するので、いわゆる「中の人」らしさは皆無。しかも視聴者はコメントを通じてキャラクターと直接交流できるので、ファンにとっては、そのキャラの実在性をこれ以上なく体感できる機会となっている。
SHOWROOMではジャニーズ事務所とのタッグにより、「バーチャルジャニーズプロジェクト」を今年2月より展開。関西ジャニーズJr.内ユニットである「なにわ男子」のメンバーがキャラクターボイズを務める、海堂飛鳥(CV:藤原丈一郎)と苺谷星空(CV:大橋和也)がデビューし、大きな話題を呼んだ。また、秋元康が総合プロデュースするデジタル声優アイドルグループの22/7(ナナブンノニジュウニ)のように、声優がキャラクターになりきってTV番組に出演したりVTuberとして活動するなど、今やバーチャルアイドルは広く受け入れられる存在になっている。VTuber市場も成長を続け、キャラクターコンテンツの在り方に大きな変革が起こっているなか、今回の『Readyyy!』のようなキャラクターとリアルの境界を超えようとする試みは、それらの潮流にもマッチするものではないだろうか。