中国語版TikTok(抖音)がHTML5ゲーム配信を開始 その狙いとユーザーの反応は?
日本でもすっかり普及したTikTok。若者の利用者が多いショート音楽動画アプリだ。
このTikTokの中国語版「抖音」が、2月19日からHTML5ゲームの配信を開始した。HTML5ゲームを簡単に説明すると、「アプリが不要なゲーム」だ。ダウンロードの手間がなく、基本的にウェブサイトにアクセスすれば遊ぶことができる。
「抖音」の運営会社であるByteDance(字節跳動)は、2012年に創業され、「抖音」のほかに「今天頭条」というニュースアプリも展開している。「抖音」のDAU数(デイリーアクティブユーザー)は2憶~2.5憶人に上り、MAU数(マンスリーアクティブユーザー)は5憶人を超えており、今、勢いのある企業といえるだろう。
サードパーティーデータ分析サービスプラットフォームであるDataEyeの「2018年モバイルゲーム年間購入量白書」によると、「今天頭条」と「抖音」という2つのコンテンツはモバイルゲーム購入総量への貢献度が大きく、中国IT企業の王者ともいえる騰訊(テンセント)のソーシャル広告の規模に匹敵するという。以下はメディア配信力ランキング。
そんなByteDanceが初めて出したゲームは「音躍球球」というタイトルだ。ヘッドホンを装着したボールを、指でタップしていくという単純なゲームだが、BGMに使われる音楽は「抖音」で人気が出た曲、いわゆる「神曲」だ。
ゲームへのアクセスは簡単かつ多様で、「抖音」ゲームトップページ、検索バーによる検索、個人用ホームメニューバーの「小程序(小さなプログラム)」入り口などがある。その内容は、ボールを下に落とさないよう、連続的にジャンプさせるため、スクリーンをタイミングよくタッチしていく、というもの。自分の好きな人気音楽を聴きながら、ゲームが楽しめる。だんだん難度が上がり、スピードもアップしていく。
自分の成績はもちろん、友達の成績や自分が全国で何位なのかなどのランキングが見られたり、様々なタスクを完了させると、復活の機会や金貨などの賞金がもらえたりする。もっとも、ネット上では「クリアしたよ! 病みつきになる」などの投稿があった一方、「新鮮味がない」という意見もあった。
面白いところでは、プレイヤーがあるアーティストの曲をゲームのBGMに選択すると、全体でその曲の使用頻度が高ければ、プレイヤーはゲームをクリアするごとにそのアーティストのMVを閲覧できるという特典がある。下の画像は男性アイドルグループ「楽華七子」の「Excuses」という曲だ。
これに対してファンは、好きなアーティストを応援するため「ゲームをやって! 」と呼びかけたりするなど、ゲームの枠にとどまらない経済効果がすでに現れている。
さらに「抖音」の特徴を生かしてゲームとのコラボショートムービーを作って投稿するなど、ユーザーの動きは活発だ。例えば、ゲーム中のボールが火の玉になって宇宙を超え、オフィスに!
(出典:秒拍)
他にも、ゲームの中のボールが落ちてゲームオーバーかと思ったら、現実世界の自分の足元にボールが落ちてきた!など、オモシロアイディア満載のショートムービーが登場している。こちらも相乗効果を生み、新たなショートムービーユーザー、ゲームユーザー獲得につながるだろう。