連載「バの音楽事情」
VTuberの音楽を追う新連載 第一回:響木アオ、周防パトラ、Kogarashi、YACA IN DA HOUSEの良曲たち
Kogarashi - 生きるのに向いてないみたいです
「五十嵐影狼」というバーチャルYouTuberのアーティスト名義。歌詞がつらい。「人間に向いてないみたいです」「じゃあ何なら向いてるんですか」と繋げられた時の絶望感が凄い。ギターの録音環境はあまり良くないようだが、BUMP OF CHICKEN藤原基央を思い出させる声質とメロディーセンスが一度聴いたものを離さない。コアなファンも多いようで、筆者もよくTwitterのリプライ等でオススメされる。動画のキャプションに「どうしようもないことを歌いました」と書いてある通り、社会に適合できない人間のやるせない叫びのような歌詞だが、その感情を音楽にぶつけることの大切さを再確認させてくれる名曲。終盤のリリックと演出は必見なので最後まで視聴してみて欲しい。最近投稿された「Serialkiller」も要チェックだ。
YACA IN DA HOUSE - SAMPLE YA SUMMER
サンプリングミュージック・バーチャルYouTuber「ワニのヤカ」によるフリーアルバム。自身のYouTubeチャンネルに投稿した公開音源5曲+未公開音源3曲の全8曲で、Bandcampからダウンロード可能。曲名に含まれる「luv.」は「feat.」の意であったりと、ヒップホップ的なオシャレ感が散りばめられてる。1曲目に関しては癖が強すぎるので解説は省くが、同じトラックメイカーである「VideoBoi」や、最近VRライブの開催が決定した「KMNZ」に加え、3Dモデラーの「zen(ワニ子)」などをゲストに呼んだ意欲的な一枚。特にKMNZとのフューチャリング楽曲である「IFIF」はリタとリズの特徴的な声を存分に生かしたしたエレクトロ・ヒップホップなトラックに仕上がっており、ワニのヤカのトラック制作に対する高い能力を見せつけられる。リリースされたのは10月1日だが、タイトルの通り楽曲もアートワークも「夏」を感じられる雰囲気にまとまっているので、夏が終わって悲しい人はこれを聴いてボーナスタイムに入ろう。
今回は3曲+1枚を紹介した。「バの音楽事情」は週一回を目標に更新していく。もしバーチャルYouTuber関連の楽曲でおすすめのものがあれば、是非とも筆者のマシュマロまで情報を寄せて頂きたい。
■じーえふ
1995年生まれ。大学中退フリーター。バーチャルYouTuberに真剣。