歌広場淳 連載第二回:俺はイケメンしか使わない! 格闘ゲームにおける“キャラ選び”の美学

歌広場淳、“キャラ選び”の美学を語る

 大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「格ゲーマーは死ななきゃ安い」。第二回目は、8月にラスベガスで開催された世界最大級の格闘ゲーム大会『EVO』の振り返りとともに、格闘ゲーマーの考え方がよく表れる「キャラ選択」について語った。歌広場淳は、なぜ“イケメンキャラクター”を選ぶのか?(編集部) 

お笑い芸人さん、ガイル好き説

 8月に行われた、世界最大級の格闘ゲーム大会『EVO2018』。メインイベントとなる『ストリートファイターV』部門では、ときど選手との激闘を制し、『ストリートファイターV』でイギリス人プレイヤーのProblem X選手が優勝しました。僕はそのとき、芸能人によるeスポーツ大会「第二回 eスポーツ スターリーグ」で連覇を決め、ちょうど楽屋に帰って来たところで、「やったー! 優勝したぞ!」なんて気分で応援していたのですが、ときどさんの連覇はならず。しかし、これほど大きな大会で、安定して壇上まで勝ち残るときどさんほか、トッププレイヤーがどれだけすごいことか。大会なので順位はもちろん大事だけれど、それ以上に、あの戦いを現地で観戦したかった! という思いで熱くなりました。

 印象に残ったシーンはたくさんありましたが、一番は『YUBIWAZA』(MBS)という番組で大会に参戦していたロンドンブーツ1号2号・田村淳さんが、配信台(※ストリーミングで対戦の内容が配信される仕様の台。予選では多数の試合を同時に行うため、有名プレイヤーでもなかなか映らない)を引いていたこと。番組スタッフに取材を任せ、スタジオでコメントすればそれで済むのに、聞くところによると、淳さんは「行かなきゃいけない」という義憤というか、責任感に駆られて現地に入ったそうで、こういう人の存在が大きな渦を作るきっかけになると思うし、本当にうれしかったです。そこで配信台を引くのだから、「もってる」と言う他ない。余談ですが、淳さんも、スターリーグに参加したクロちゃんさんもガイルを使っていて、僕のなかで「お笑い芸人さん、ガイル好き説」がにわかに浮上しています。「どう考えてもクロちゃんはバーディーだろ!」って思うんですけど(笑)。

 また、EVOでは各タイトルのメーカーさんがサプライズで発表を行なうことも恒例になっています。『鉄拳7』なら、昨年は『餓狼伝説』や『THE KING OF FIGHTERS』(KOF)に登城する人気キャラクター「ギース」の参戦が伝えられ、今年はなんと海外ドラマ『ウォーキング・デッド』のヒールキャラクター「ニーガン」が登場するという発表があり、ファンのド肝を抜きました。その点、昨年は新キャラクター・アビゲイルの発表で、正直、ファンが微妙な空気になった『ストV』でしたが、今年は待望の「サガット」と、“世界大統領”を自称する謎の男「G」の参戦、しかも翌日からプレイアブルになるという発表で、ファンを大いに沸かせました。さすがカプコンさん、わかってらっしゃる! と。

「イケメンは強い!」と信じている

 これで発表されているキャラクターはすべて出揃い、リスタートを切るタイミングができました。象徴的な大会が終わっても、燃え尽きるどころかモチベーションが上がるのがよかった。キャラクターの追加やゲームバランスの調整というアップデートに対して、どう頭を使って、どう楽しむのか、というのは、最近のゲームの大きな楽しみです。

 さて、キャラクター選びには格闘ゲーマーのセンスや考え方が出ます。僕のキャラ選びのポイントは単純で、「イケメンを使う」ということ。なぜなら、僕は「イケメンは強い!」と信じているから。『KOF』の97~98あたりであれば、草薙京、八神庵、クリスの3人を使っていたし、『ストV』では、ずっとケンを使ってきました。けれど、キャラクターの追加で、最近は夜な夜な、コーディーに浮気をしておりまして……(笑)。詳しくない方のために説明すると、ケンは「マスターズ財団」の御曹司で、全米の格闘技王という、まさにギフテッド=持てる者というキャラクター。一方で、『ファイナルファイト』シリーズの主人公でもあるコーディーは、正義感が強く、メトロシティという都市を救った英雄なのに、一時は獄中で生活していた苦労人。『ストV』の世界ではそんな彼がメトロシティの市長になっており、この「持っていない」ところからのし上がったストーリーに痺れるんです。

 キャラ性能だけで言えば、ケンの方が強い。けれど、ストーリー的にも、性能的にも「持っていない」コーディーに惹かれてしまう。また、実際に触ってみた感じとして、勝てるときはブルドーザーのような攻めで圧倒できるけれど、負けるときは本当にコロッと負けるので、「自分の弱点は防御なんだ」ということに、あらためて気付かされました。必ずしも一致しない、プレイヤーの成長とキャラクターの成長をつなげることができると思って、いまも鍛錬に励んでいます。もっとこのゲームが好きになれそうだ、と。

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