東海オンエア、政府広報提供の動画を公開 “過激派YouTuber”が公的機関にも重用される理由は?
チャンネル登録者数360万人を超える6人組の人気YouTuber・東海オンエアが9月25日、「【大盗難】岡崎市中に隠された俺の物を探し出せ!!!」と題した動画を公開した。
動画の内容はタイトル通り、東海オンエアが活動の拠点としている愛知県岡崎市にばらまかれた、リーダー・てつやの私物を探すというもの。目を引くのは、動画説明欄にある「提供:政府広報」のクレジットだ。普段通り、メンバーが楽しい騒動を巻き起こしながら、岡崎市の名所をうまく紹介しており、「地域振興」の色合いのある動画となっている。
さて、東海オンエアはYouTuberのなかでも“過激派”とでも言うべきか、動画にモザイクがかかる割合は、彼らが所属するUUUMの人気クリエイターのなかでも飛び抜けて高いと思われる。注意のテロップを読むまでもなく、真似したくない、あるいはできない、と思わされる挑戦的な企画も多い。つまり、「品行方正」というイメージがあるとは言い難い彼らが、政府広報から依頼を受け、またそれ以前に、岡崎市から「岡崎観光伝道師」に任命されるなど、公的な機関にも重用されているのはなぜだろうか?
第一に、当然ながらその人気が挙げられるだろう。地上波で活躍するタレントのように、広く一般的な知名度はないが、日本全国津々浦々、繁華街を歩けば若者が人だかりを作る人気者たちで、自身もYouTuberとして活躍する元私立恵比寿中学の廣田あいかを始め、同郷のM!LK・佐野勇斗、ぼくのりりっくのぼうよみなど、著名人にも視聴者が多い。彼らがよく動画で名前を出すラーメン店は今や岡崎の観光名所とも言えそうな人気店になっており、全国的な人気と地元愛/地域密着の活動が広報のアイコンにもってこいだ、というのは間違いないところだろう。
第二に、「過激」とも言われる動画の内容が、多くの場合、他人を巻き込むものではなく、あくまで仲間内でリスクを取り合うものになっていることも大きいと思われる。彼らがよく使う、聞き慣れない言葉に「せんぱんよく」というものがある。例えば、撮影が終わってみんなで食事をしようというときに、何を食べるかジャンケンで決めるのが恒例になっているが、自分も含めて誰も行きたがらない店を指名するメンバーが出てくる。つまり、「人に罰を与えて笑いたい」という意図ではなく、「自分も嫌だが視聴者にとっては笑えるアイデアを出した張本人=“せんぱん(戦犯)”になってやる」という欲求が「せんぱんよく」と呼ばれており、これに象徴されるように、主にメンバー間でリスクを与え合い、結果として楽しそうに無茶をしているところが、「過激」ながら公的機関の人々にも微笑ましく捉えられる要因だろう。