新木優子主演『毎日、思ってた』はWEBドラマの枠にとらわれない傑作に 山戸結希短編作品を考察
一昨年の秋に劇場公開された長編映画『溺れるナイフ』以降、山戸結希の主戦場はMVやWEBドラマなど短編作品へと移行した。たとえばNGT48の「世界はどこまで青空なのか?」MVや、『ViVi』(講談社)とコラボした短編『玉城ティナは夢想する』など、そのいずれもがこれまでのMVやWEBドラマの枠にとらわれない傑作になっていることは言うまでもない。
独特なカット割り、テンポの早いカットバックに、被写体の表情のクローズアップと手元が不規則に交錯し、時には狭い範囲をパンショットで動き回る。それらがより効果的な状態のまま最後まで駆け抜けることができる点で、長くても10分程度の短編作品というのは山戸結希という映像作家のビビッドさには適しているのだろう。
そんな山戸作品の新作が9月から配信開始された。カネボウ化粧品「suisai」のコマーシャルを兼ねたWEBドラマ『毎日、思ってた』だ。昨年の秋に新木優子を主演に迎えてはじまったシリーズの第3弾となる本作は、冒頭から山戸のデビュー作『あの娘が海辺で踊ってる』をどことなく想起させるような、主人公を含めた3人の女性の些細な会話から始まり、俊敏なカットワークも相まって単なるコマーシャル映像に留まっていないことをうかがわせる。