ストリーミング売上増とオリコン合算ランキングは音楽シーンをどう変える?

 日本レコード協会が8月26日に公表した「2018年第2四半期(4月~6月)音楽配信売上実績」にて、定額制の聴き放題型サービス(サブスクリプションサービス)を含むストリーミングの売上高がダウンロードの売上高を上回ったことが明らかになった。ストリーミングが対前年比137%で88億3800万円を記録したのに対し、ダウンロードは対前年比93%の62億円5200万円となり、2018年第2四半期の音楽配信売上の合計は160億4000万円で対前年比114%に伸長している。

 ストリーミングの大幅増により、音楽市場に活性化の兆しが見えたとされているが、市場構造が変化することで音楽業界にはどのような変化が起こりうるのか。デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏に話を聞いた。

「ストリーミング市場が活性化して拡大しているのは、日本の音楽業界にとってプラスの効果をもたらすと考えています。ストリーミングサービスは、世界最大手の音楽配信サービスであるSpotifyが上陸する以前から、日本において定着するか否かが議論されてきましたが、ようやくビジネスとして成立しつつあることが、今回のデータで実感できた印象です。単にダウンロードが落ち込んでストリーミングが伸びたということではなく、全体として音楽配信売上が伸長しているのがポイントで、今後はレコード会社も積極的にストリーミングに力を入れていくことになるのでは。ユーザーがストリーミングを活用することで音楽に触れるきっかけが増えれば、そこからライブに行こうと考えるユーザーも増えるでしょうし、結果としてフィジカル音源やグッズの売上増にも繋がる可能性もありそうです」

 また、音楽ランキングのオリコンが8月29日、「CD」「デジタルダウンロード」「ストリーミング(集計の対象となるのはApple Music、AWA、KKBOX 、LINE MUSIC、レコチョクの5社)」の3要素を合算した『オリコン週間合算ランキング』を12月19日より開始することを発表したことを受けて、同氏は「レコード会社の戦略も変わってくる」と指摘する。

「ストリーミングは音源の購入と異なり、再生回数が売上高に繋がります。オリコンのこれまでのランキングは、CDの売上枚数を計上するものであり、その音楽が実際にどれくらい聴かれたのかを示すものではありませんでした。そのため、レコード会社は売り出したいアーティストのCDを複数の形式でリリースしたり、特典を付けるなどして、ランキングの上位を目指すことができましたし、その結果がアーティストのブランディングにも繋がっていました。しかし、ランキングにストリーミングの要素が加わると、必然的に再生回数も指標のひとつとなるため、これまでの戦略が通用しなくなります。“どう売るか“ではなく、“どう聴かせるか“が大事になってくるわけです。そうなると、レコード会社もいかにしてストリーミングで聴いてもらうかを重視せざるを得ない。結果として、これまでストリーミングで配信してこなかった人気アーティストの楽曲も解禁することになるでしょうし、再生回数を上げるための新しいアイデアが生まれる可能性もあります。見方を変えれば、新しいビジネスチャンスが広がっているとも言えるでしょう」

 ランキングに名を連ねるアーティストが、これまでより流動的になる可能性もありそうだ。

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