唯一無二のゲーム機と別れを告げ、シリーズ最大の転換期を迎える『世界樹の迷宮』の今後を考える
迷宮に潜る面白さを失わず、新たな一歩を
その他、注目したいポイントとして、昨今のシリーズで強化されてきた、キャラクターボイスやストーリーの行方が挙げられる。結果として、ハードなゲーム性を持ちながらも、若い層に訴求できる賑やかな魅力が備わったが、初期からのファンからすると、ダンジョンRPGの楽しさを追求した、よりシンプルな内容を求めてしまう部分もある。
筆者としては、前作『世界樹の迷宮V』は、様々な設定を盛り込んだあまり、迷宮の奥を目指す、シンプルな面白さが置いてきぼりにされていたようにも感じた。「アドベンチャーエピソード」なる新イベントも、プレイヤーそれぞれが迷宮を探索している際に遭遇する事故、思い出を制作側に決められてしまったような感覚が否めなかった。新しいプレイヤーを獲得するためには適切な進化かもしれないが、心機一転の再スタートに際しては、本来の楽しさを飾らずに見せる、削ぎ落とされた内容にも期待したくなる。
大きな転換期に向けてのカウントダウンが始まった『世界樹の迷宮』。それがどのような形になるにしても、本シリーズでしか味わえない遊びが詰まった作品になることを願って止まない。気になることは山ほどあるが、今はただ、純粋にシリーズ最新作『世界樹の迷宮X』を遊び、2画面での最後の迷宮探索を楽しもう。繰り返しになるが、そのような遊びができる『世界樹』は、これで最後になるのだから。
■シェループ
新旧構わず、色んなゲームに手を伸ばしては積みゲーを増やし続ける人。コソコソとゲームライターとしても活動し始めた。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションが大好物。最近、『スプラトゥーン』のジャッジくんが気になって仕方がない。
Twitterアカウント(@shelloop)
■世界樹の迷宮X (クロス)
ハード;ニンテンドー3DS
発売日:2018年8月2日
ジャンル:ダンジョンRPG
プレイ人数:1人
価格:
パッケージ版 6480円(税別)
DL版 6480円(税別)
CERO:B(12才以上対象)