『フォートナイト』が賞金総額2800万円の公式大会を発表 さらなる大規模イベントの前哨戦か?
PS4やNintendo SwitchなどのCS機やPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末向けにも配信されている『フォートナイト』。独自要素のクラフト機能やポップなグラフィックデザインも相まって、今やバトロワ作品の革命児的な存在だ。そして7月11日、『フォートナイト』を運営するEpic Gamesにより、賞金総額9億円にもなる公式大会「Fortnite Summer Skirmish」の開催が発表された。
今回の発表で開催が明らかとなった「Fortnite Summer Skirmish」は、全8週間の期間内に行われる複数の大会をまとめた総称である。第1回目は今週末(2018年7月2週)に開催されるデュオ専用大会(2人1組のチーム)で、賞金総額は日本円で約2800万円に設定される。なおEpic Gamesは参加資格に関する説明として、公式アナウンスページに「競争意欲があるコミュニティクリエイター及びフォートナイトプレイヤー」と記載している。また、今後における参加資格やレギュレーションは、その都度変わる可能性もある模様だ。競技性に着目したeスポーツ大会はプロゲーマー同士の戦いを観戦する形式が多い中で、もし「Fortnite Summer Skirmish」がプロ・アマ問わず参加できる大会となるならば、世界中の『フォートナイト』ファンを含め各方面で話題になることも予想される。
Epic Gamesは5月にも、『フォートナイト』の大規模な大会開催のために約110億円を容易すると発表し反響を呼んだ。2800万円でも単体のゲーム作品を用いたeスポーツ大会の賞金としては大変高額だが、110億円となればスケールの規模からして最大級と表するのが妥当だろう。その理由としては、やはり『フォートナイト』のセールスが好調であることが考えられる。
『フォートナイト』のバトルロワイヤルモードは基本料金無料でありながら、ゲーム内のキャラクターコスチュームや、プレイ状況に応じてアイテムがアンロックされる「バトルパス」を販売して利益を上げている。いわゆるマイクロトランザクション(少額課金)を主な収益源としており、ランダムにアイテムが排出されるルートボックスはゲーム内で販売していない。「ユーザーの射幸心を煽る」「ギャンブル性が強いのではないか」と様々なユーザーコミュニティや有識者の間で議論のタネとなることもあるルートボックスを採用しなかった点は、『フォートナイト』のマネタイズ戦略を分析する上で欠かせない要素である。
CS版やPC版のスマッシュヒットもさることながら、2018年3月にリリースされたiOS版は6月時点で110億円のセールスを記録し、この収益が先述した大規模なイベントの開催費用に充てられると筆者は推測する。いずれにせよ、基本無料タイトルながらユーザーの心を掴み、無理のないアイテム購入までの導線を作り収益を上げた実績は、他者作品へのバトルパス方式の普及やフォロワータイトルの誕生というムーブメントへ繋がっていくだろう。
7月12日に実施されたシーズン5アップデートされただけでなく、ゲーム内のオブジェがアメリカやヨーロッパで実際に発見され、さらに注目を浴び続けている『フォートナイト』。架空のゲーム作品としてのエンタメ性に加え、現実世界とクロスオーバーするキャンペーンがこのまま実施されれば、日本でもさらに大きな社会現象になる日がくるかもしれない。
■龍田 優貴
ゲームの尻を追いかけまわすフリーライター。時代やテクノロジーと共に移り変わるゲームカルチャーに目が無い好事家。『アプリゲット』『財経新聞』などで執筆。
個人的なオールタイムベストゲームは「ファミコン探偵倶楽部」シリーズ。
Twitter:@yuki_365bit