音楽好きも注目したい、日本語版登場が待ち遠しい海外インディーゲーム4選
小規模なチーム、個人によって制作された「インディーゲーム」は、一つのジャンルとして家庭用ゲーム機からパソコン、スマートデバイスにおいて定着しつつある。特に家庭用ゲーム機では、任天堂の最新ゲーム機「Nintendo Switch」で国内外を問わずインディーゲームが大きな注目を集め、セールス面でも景気のいい話が聞こえてきている。
ただ今日、インディーゲームが最も多く誕生しつつあるのはパソコンである。中でもValve社のゲーム配信プラットフォーム「Steam」では一週間に数百ものインディーゲームが発表されている。ただ、大半は海外の作品で、その中で日本語に対応しているものはごく僅かに留まっている現状だ。
そんな「Steam」で今後販売予定or販売中のインディーゲームの中から、日本語対応に期待したいタイトルを4つ紹介する。いずれも音楽面でも楽しませてくれそうな作品に絞り込んだ。その理由は、このサイトが「リアルサウンド(テック)」であり、読者にとって価値の高い情報になりそうだから、というシンプルなものだ。
◆Rakuen
最初に、販売中の作品から2つピックアップする。一つ目に『Rakuen』。アメリカのゲーム音楽作曲家でシンガーソングライターのローラ・鴫原氏が製作総指揮を執ったアドベンチャーゲームで、音楽に力が入っている。
その内容は見下ろし視点のフィールドを歩きながら、謎を解いたり、ストーリーを進めていくロールプレイングゲームの体裁を取ったアドベンチャーゲーム。とある病を患い、長期入院中の少年となって、彼の大好きな絵本「楽園」の世界を愛する母親と共に冒険していく。「楽園」はその名の通りに夢と冒険の詰まった幻想世界で、ビジュアル面でも楽しそうな雰囲気が滲み出ている。だが、ストーリーは重く、冒険を進めるにつれ、少年が入院している理由、母親は今、何をしているのかと言った謎が解き明かされていく。その詳細は伏せるが、日本に暗い影を落とした”7年前のあの出来事”が関係しているとだけ触れておこう。
2017年よりSteamで配信中だが、題名とは裏腹に日本語には対応していない。同じく鴫原氏が音楽を手掛けた作品で、本作のゲームデザイン面で影響を受けているアドベンチャーゲーム『To The Moon』は、PLAYISM(アクティブゲーミングメディア)が日本語ローカライズを担当したが、現時点で本作のローカライズを行うとのアナウンスはない。非常に魅力的且つ、訴えかけるテーマを秘めた作品であるだけに、いずれ対応を果たしてほしいところだ。
■Rakuen
https://store.steampowered.com/app/559210/Rakuen/
◆Minit
販売中二本目として『Minit』。五人のクリエイターのコラボレーションによって誕生したアクションRPGで、2018年4月3日よりSteamで配信中だ。白黒のドット絵、見下ろし視点を特徴とする懐かしい雰囲気漂うアクションRPGだが、1分が経過すると1日が終わり、スタート地点の自宅に強制送還されるという、突き抜けたシステムを特色としている。ただし、獲得したアイテムと行動結果は引き継がれるようになっており、ある程度ゲームが進めば、中継地点から再開できるようにもなるので、コツコツと経験を積み上げながら前進していく設計だ。
これまた日本語には未対応だが、その予定はあり、海外インディーゲームのローカライズを積極的に行っている「架け橋ゲームズ」が担当することが告知されている。また、海外ではプレイステーション4、Xbox Oneのコンシューマ機でも販売されており、今後、ニンテンドースイッチ版もリリース予定という。
限られた時間でどこまでやり切れるか、計画性が試されるゲームデザインが魅力の作品。音楽については、5人のクリエイターの一人、Jukio Kallio氏(※代表作:Nuclear Throne、Bleed 2、ピクセルジャンクモンスターズ2)が担当しており、耳に残る印象的な楽曲が揃っている。それらに心がときめくプレイヤーなら見逃せない一本。作中には制限時間を更に短くした「ハードモード」も収録されているので、やり込み派のプレイヤーも要チェックだ。
■Minit
https://store.steampowered.com/app/609490/Minit/
◆Kaze and the Wild Masks
ここからは販売予定の作品を2つ。まずは『Kaze and the Wild Masks』。禍々しい色を帯びた彗星が落下し、それが放つ瘴気を浴びて怪物へと姿を変えた植物達を鎮め、元凶の彗星を叩くべく、ウサギの「kaze」が舞台となる「キャロットランド」の各地を転々としていく、横スクロールアクションゲームだ。
制作はブラジルのポルトアレグレに拠点を構える独立系ゲームスタジオ「VOX GAMESTUDIO」。1990年代、特に任天堂とイギリスのレア社が手掛けた『スーパードンキーコング』シリーズに強く影響を受けていて、耳を回転させながらの空中浮遊、隠されたボーナスステージ、四つ集めると文字が揃うプレートアイテムなど、同作を知る世代ならニヤリとしてしまう。タイトルにもある通り、「マスク」を用いたアクションもあり、装着することで空を飛んだり、虎の如き走りでステージを駆け抜けるとこともできるようだ。
Steamコミュニティの情報によると、開発進捗率は55~60%。リリースは2019年を予定しており、PC以外にもプレイステーション4、Xbox Oneでのリリースもアナウンスされている。日本語への対応も確定しているようだ。精微なドット絵で描かれたグラフィックとともに、幻想的な雰囲気が漂う音楽が魅力的。音楽面でも評価が高い『スーパードンキーコング』シリーズを知るプレイヤーなら、要注目のタイトルだ。
■Kaze and the Wild Masks
https://store.steampowered.com/app/829280/Kaze_and_the_Wild_Masks/
◆Tower Hunter Erza's Trail
魔王と契約し、輪廻転生の能力を得た主人公の女剣士「エルザ」を操作し、入る度に地形が変わる巨塔を登っていく横スクロールのアクションRPG。入る度に地形が変わり、途中で力尽きればそれまでの進捗が白紙に戻されるなど、いわゆるローグライクの要素を強く押し出したゲームデザインだが、探索型アクションゲームとしての側面もあり、慌ただしくも緊張感に満ちた展開が繰り広げられていく作りになっているという。
また、仮に途中で力尽きても獲得した装備、キャラクターの育成に必要な経験値などは残る設定にされているようで、辛抱強く挑戦を繰り返していけば攻略への糸口が見えてくるよう、ローグライク特有のシビアさを抑え込むバランス調整を目指しているとのこと。世界観、キャラクターデザインも中世のファンタジー世界をモチーフにしつつ、アニメ風のテイストも加味したものになっており、音楽もそれに合わせて、ゴシック調の楽曲で統一されているのが印象的だ。音楽とともに、作品の世界観に浸ることができる。
2018年7月20日より、Steamにて販売開始。製品版ではなく、早期アクセス版としてのリリースになる。ストアページによれば、10ヶ月の期間を要してプレイヤーからのフィードバックを受けながら、ゲームバランスの調整などを行って完成度を高めていくようだ。また、日本語にはデフォルトで対応している。ストアページの作品紹介を見る限りでは日本語訳がこなれてないことから、少々不安が残が、この辺も10ヶ月間の内にアップデートで改善されていくことを期待したい。
■Tower Hunter:Erza's Trial
https://store.steampowered.com/app/844850/Tower_HunterErzas_Trial/
以上、簡単ながら4つの作品を紹介した。現在、まさに今この瞬間でもSteamでは数多くのインディーゲームが販売、発表されている。どのような作品が発表され、話題になっているのか、気になったら本家サイトトップにある「更新情報」の項目をチェックして追いかけてみよう。
■シェループ
新旧構わず、色んなゲームに手を伸ばしては積みゲーを増やし続ける人。コソコソとゲームライターとしても活動し始めた。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションが大好物。最近、『スプラトゥーン』のジャッジくんが気になって仕方がない。
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