指が折れるまで叩きたいーー『GOD HAND』が教えてくれた、殺意を込めてボタンを連打する爽快感

 私はガラケーからスマートフォンに変化する時代、そして携帯電話でのゲーム・プレイが普及していくのをリアルタイムで体験できました。あの頃、周囲には「スマホが流行ってるけど、どうしても物理的なボタンが欲しい」と、いわばボタン欲ゆえにスマホに代えるのを渋る人がけっこういました。こうしたボタンへの執着はゲームも同様です。今でこそスマートフォン向けゲームのUI(ユーザーインターフェース、ゲーム内情報の表示・入力の形式)はある程度の定型が出来上がっています。音ゲー、パズルゲー、コマンド選択系のRPGなどなど、様々なジャンルがそれぞれ魅力的な操作感を確立しています(特に音ゲーやパズルゲーなんかは、コンボが繋がると物凄く気持ちがよいものです)。

 ですが今現在も、スマートフォンでは物理的なボタンを押す感覚、特に『GOD HAND』の「ボコる」のような、殺意を込めてボタンを連打する爽快感は再現できていません(再現できたら画面が割れます)。そこまでの連打を要求されないゲームも楽しいのですが、せがた三四郎が言う所の「指が折れるまで」なゲーム体験がフッと恋しくなるのもまた事実。もし貴方が一心不乱にボタンを叩きまくりたいとき、『GOD HAND』はそのボタン欲を必ずや満たしてくれることでしょう。

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

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