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加藤よしきの“ゲームのいけにえ”

指が折れるまで叩きたいーー『GOD HAND』が教えてくれた、殺意を込めてボタンを連打する爽快感

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 こんにちは、加藤よしきです。会社員をしながら、時おりリアルサウンド映画部にて記事を書かせて頂いております。最近は『タイタニック』(97年)を午前十時の映画祭で見直して、昔は気付かなかった点でハッとさせられたりしていますね。押し寄せる海水から逃げるディカプリオとケイト・ウィンスレットの顔がマジな所とか。あの顔を見ると、楽な仕事なんてないなと改めて思います。

『GOD HAND』(カプコン)

 ところで話は変わりますが、ボタンを押すのって楽しいですよね。特にゲーム機のボタンを連打するのって、最高に気持ちがよいと思います。指に伝わる適度な反発、プラスチックのカチャカチャ音、そして連打に応じて動くゲーム画面……全てが合致すると、とにかく気持ちがよいものです。いきなり何を言い出すんだと思われたでしょう。それは今回取り上げるタイトルが『GOD HAND』(06年)だからです。私はこのゲームで「ボタンを叩く」という行為そのものに快感を見出しました。今回はこの「ボタン欲」を中心に、お話をさせて頂きたいと思います。

 『GOD HAND』は「ゴッドゲーム第1弾」と銘打たれたアクションゲームです。ゴッドハンドと呼ばれる超強い右腕を持った人を操り、襲ってくるモヒカン、ゴリラ、悪魔などと戦っていきます。「毒チワワ」「ゴッド☆土下座」と言った字面だけでもバイブスが伝わってくる独自の世界観は、今日でも一種の金字塔。今なお語り継がれる名作ですが、あまり気軽に薦めることはできない困った作品でもあります。端的に言うと、やたらと難易度が高いのです。上記のようなコミカルな世界観に対して、敵は滅茶苦茶に硬く、全力でプレイヤーを殺しに来ます。もちろんゲーム開始時の難易度選択はあるのですが、EASYでもクリアするのは容易ではありません。また「ゲーム中でのプレイヤーの戦い方に応じて、その場で敵の強さが変化する」というシステムも何気にエグい。ですが、こう言った難易度の高さが間違いなく本作の魅力でもあるので……薦め方に困るわけです。

 コラム記事とは言え、こう言ってしまうのはどうかとも思いますが、「合う人は合う、合わない人には合わない」ゲームです。私も冷静に考えると、愛憎入り混じると言うか、初めて触れた時は、心の半分で「なんて楽しいゲームだろう」と思いつつ、もう半分では「ぜってぇクリアしてやるぞコラァ!」と、半ば殺意に近い感情を抱きながらプレイした記憶があります。映画『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(11年)で「真の集中力は怒りと平静心の間にある」という台詞が出てきますが、当時の私はその状態に近かったのかもしれません。……さて、ゲームの概要はこのくらいにして、次は本作と「ボタンを叩く」という行為の関係に触れていきたいと思います。

 このゲームには、そのものズバリな「ボコる」というコマンドが出てきます。このコマンドが出たら、敵を一方的に殴りまくることができます。前述のように、本作は非常に難易度が高いゲームです。「ボコる」はボタンを押した回数だけ相手にダメージが入るので、強い敵にまとまったダメージを叩き込む貴重な機会です。なので「ボコる」が発生したら、もう必死ですよ。発生した瞬間、ここぞとばかりにボタンを連打。一心不乱にボタンを叩き続けます。ただでさえボタンを押すことが多いゲームな上に、しかも「ボコる」がゲーム中で度々発生、時には敵とのボコり合いも起きます。必死でボタンをガチャガチャ連打するので、夏場にプレイすると発汗必至。ある夏の日に数時間ブッ続けでプレイした時には、腕が筋肉痛になりました。もはや一種の筋トレと言っていいでしょう。そんな精神・肉体の両面を酷使した末、ようやく敵をブッ倒した時と言ったら……流した汗の分だけ気持ちがいい。まさに極上のゲーム体験でした。これは「ボタン」があるから得られるものです。この「ボタンを押す気持ちよさ」は、家庭用ゲーム機独自のものだと思うのです。

      

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