高畑勲監督は“アニメの作り方”を抜本的に変革したーー遺作『かぐや姫の物語』の功績
アニメのビジュアルの作り方そのものを抜本的に変革させようという大胆な試みは、高畑勲監督の非凡さを象徴している。遺作となった『かぐや姫の物語』(2013年)は、日本最古の物語といわれる「竹取物語」を生き生きとした線画で描き切った大作で、「絵が動く」ことの感動を「生命の素晴らしさ」とともに真っ直ぐに伝える傑作だ。
「優れて芸術的な作品を生み出すには、ウォルト・ディズニーのように、常識を逸脱したイマジネーションと、それを実現させようとする狂気をはらんだ決断が必要です。高畑監督は、スタジオジブリでそれらと同等の狂気と芸術性を保ち、世界のトップ・クリエイターとして、アニメーションが本来持っている芸術性を絶やさなかったという意味でも、考えられている以上に重要な功績を残しています」
なお、スタジオジブリでは、故人との「お別れの会」を5月15日に行なう予定だ。