VRビジネスは2018年に急成長する? 映像演出家が現在の市場動向を解説

 12兆円というと桁が大きすぎてイメージが湧きづらいと思うので、もうちょっと他の業界と比較してみましょう。世界の自動車産業の市場規模が200〜250兆円(参考:自動車産業の未来 経済産業省 自動車課)なので、12兆円というと世界の自動車業界の5%近い市場規模になることが予想されています。

 これらの数字を見て、どう感じますか? VR/AR業界の一部は今までの産業と重なる部分もでてくると思いますが、多くの場合、新しく生まれる市場になるはずです。日本のエンタメ産業全体の15%ぐらいの新しい市場が、これから10年経たずに立ち上がると思うと、ワクワクしませんか? しかも、VRならユーザーが世界のどこにいても同じ体験をできるので、海外進出もしやすくなります。

 日本の場合、この数年間ずっとコンテンツ産業の市場規模が横ばいだったということは、同じパイを既存のプレイヤー達が奪い合っていたということです。市場規模が大きくならなくなった理由は様々ですが、日本の人口が今後も減少し続けることを考慮すると、既存の産業が、例えば来年から突然2桁の成長率で伸びるというのは難しいと思います。

 そんな閉塞感の漂う中、突如爆発的な進化を始めたのがVR/AR業界です。これから大きく業績を伸ばしたい! 既存の企業間バランスを変えたい! 今から世界と勝負したい! と思う若いエネルギーがどんどんVR業界に参入してくるのは、時代の波という追い風に乗ることで、自分自身のパフォーマンスを何倍にも加速できることを本能的に感じている人が多いからだと思います。

 次回からは、より具体的に、現在あるVRプラットフォーム、これから増えるプラットフォーム、プラットフォームの進化に伴い変わっていくコンテンツ、VR産業とブロックチェーン技術の融合がもたらす新しい経済圏、といった内容について書いていきます。

■VJyou
高校時代よりベーシストとしてバンド活動や作曲活動を開始。2006年、しばし滞在していたドイツで出会った光景をきっかけに、映像と照明を掛け合わせた空間演出家VJyouとして活動を開始。2008年にベルギーのArkaos社よりGrandVJ Artistとして登録されたのをきっかけに、アップルストアなどでVJセミナー講師も行うようになる。 「いつも歩く道からほんの少し違った世界」をテーマに、実写素材とプログラミング素材を掛け合わせたインタラクティブで有機的な表現を続けた結果、ダンスと画を融合させたLiveCinemaという作品作りを開始。2014年にはCID ユネスコ WORLD DANCE CONGRESS 2014 にてLiveCinema 『Awake』を上演するなど、国内外問わず精力的に活動を続けている。
http://vjyou.com/

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