加藤よしきの“ゲームのいけにえ”
『地球防衛軍5』はなぜ過度な演出がない? “足さない美学”に見る、作り手の絶対の自信
これはキャラクターや物語を見せるよりも、プレイヤーの手を止めさせないこと、戦闘で遊ばせることを第一としているからでしょう。シナリオやキャラクター性を押し出すことは、新たな面白さを作るチャンスでもありますが、非常にリスキーでもあります。例えばシナリオがとんでもなくアレだった場合、せっかくゲーム・システムが面白くても、全体の印象がマイナスになってしまうこともあります。だったら、いっそのこと変な工夫はしない! ……この判断は合理的ですが、中々に勇気がいるものです。しかし『地球防衛軍』は、作り手側がゲームの肝――戦闘の面白さ――を自覚し、絶対の自信があるからこそ、その面白さを損なう恐れのある要素は思い切って目をつぶっているのです。これはまさに「足さない美学」でしょう。
映画でもそうですが、続編には新要素が付き物です。そこで余計なものを足してしまった結果、シリーズ全体が傾くことも多々あります。その点、『地球防衛軍』シリーズは、足さないものは足さないと割り切っている姿勢が非常に賢明です。理想的なシリーズものであり、示唆に富んだタイトルと言えるのではないでしょうか。
■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。
■商品情報
『地球防衛軍5』
対応PF : Playstation4
発売日 : 2017年12月7日発売(発売中)
ジャンル : 3Dアクションシューティング
価格 : パッケージ版 7,800円(税別) ダウンロード版 7,800円(税込 プレオーダー対応)
※PS Storeでは、DLCシーズンパス他、シーズンパスと本編がセットになったデジタルプレミアムエディションも販売中。
対応人数 : オフライン:1人~2人プレイ/オンライン:4人協力プレイ
CERO : 「D」17歳以上対象
開発 : 株式会社サンドロット
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